「凝視」とは?意味や使い方をご紹介

「凝視」(ぎょうし)とは、目を凝(こ)らしてじっと見つめることを意味する言葉です。目は口ほどに物を言うと言いますが、人を「凝視」するとちょっとびっくりさせてしまうかもしれません。ここでは、「凝視」の意味や使い方を類語や英語表現も含めてご紹介します。

目次

  1. 「凝視」の意味
  2. 「凝視」の使い方
  3. 「凝視」の類語
  4. 「凝視」の英語表現

「凝視」の意味

「凝視」(ぎょうし)とは、「目を凝(こ)らしてじっと見ること」という意味の言葉です。目を見開くようにして、ある程度の長い時間、対象を見つめ続けるさまをイメージしましょう。

「凝らす」には、「工夫を凝らす」のように、何事かに傾注・熱中して一つのものにこだわるという意味があります。それを「目(視線)」の動作に喩えているわけですね。

例えば、テレビを見ていたら、突然あなたの身近な人のニュースが報じられたとしましょう。すると、あなたの目はテレビ画面に釘付けになり、しばらくは他のことがまったく頭に入らないでしょう。これがテレビを「凝視」している状態です。

「凝視」の使い方

人が何かを「凝視」するのはどんな状況でしょうか。「じっと見つめる」という意味だけ考えると、親愛の表現として相手を見つめるようなシチュエーションが浮かぶ方もいらっしゃるかもしれませんが、これは「凝視」の使い方としては少々不適です。

「凝視」は、じっと目を凝らさなければならないほど、「対象が何なのかわからない」「相手の真意がつかめない」ために行われることが大半です。あるいは、「対象に心が囚われ、ただ見つめることしかできない(対象に執着を持つ)」状況を表すこともあります。

そのため、人間が人間を「凝視」する場合は、「疑い」「不信感」「執着」等のニュアンスを持つことが多く、顔見知りであっても失礼にあたることがあるため注意しましょう。

例文

  • その刑事は、事情を説明する第一発見者の横顔をじっと凝視していた。
  • 深い霧の向こうに何かが見えた気がして、男は窓越しに外を凝視した。
  • 薄暗い路地を歩くと、見知らぬ老人がぎょろりとした目で自分を凝視してくるのを感じた。
  • 大勢の人が、災害の状況を伝える街角のスクリーンを凝視している。
  • 時々、猫が空間の何もないところを凝視していることがある。理由は不明だ。

「凝視」の類語

注視

「注視」(ちゅうし)とは、「視力を集中して見つめること」あるいは「注目」の意味です。動作そのものは「凝視」と似ていますが、対象に「執着」を持つニュアンスは薄く、主に「(何らかの必要のために)注意の目を向ける」という意です。

また、「状況を注視する」のように、具体的な「目、視線」を使わずとも、「意識を向ける」「関心を寄せる」という意味でも使える点も「凝視」とは異なります。

【例文】

  • 異変の兆候を逃さぬよう、彼は計器の針を注視していた。
  • 「引き続き、某国の軍事的動向を注視していく」と官房長官はコメントした。

熟視

「熟視」(じゅくし)は、「じっと見つめること」「よくよく、念入りに見ること」という意味です。あくまで「(間違いなどがないか)よく見つめる」程度の意ですので、「凝視」にあるような不信のニュアンスは薄めです。

「人の顔を熟視する」としても、(それが見知らぬ他人でない限りは)柔らかく、興味や親愛の情を持って見つめるというニュアンスとなるでしょう。

【例文】

  • 送られてきたメールの文面を熟視する。
  • 久々に会った孫の顔を、祖母は穴が開くほど熟視した。

「凝視」の英語表現

「凝視(する)」の英語表現は以下の通りです。

  • gaze
  • stare

両者は概ね同じように使用できますが、敢えて踏み込むのであれば、「gaze」は「何らかの関心をもって(驚きや興味をもって)見つめる」意で使われることが多いのに対し、「stare」は単純に「じろじろ見る、見つめる」という意で使用されることが多いです。

もし「凝視」の理由を明確に示したい場合は、「in wonder(不思議そうに)」や「with hatred(憎々しげに)」などの表現を付け加えるのもよいでしょう。

例文

  • She gazed in wonder at the black cat.(彼女はその黒猫を不思議そうに凝視した)
  • He stared into vacant space. (彼は虚空を凝視していた)


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