「上梓」とは?意味や使い方をご紹介

「上梓」とは、日常生活ではほとんど見聞きしない言葉ながら、出版業界では頻出するキーワードです。「上梓」は「出版」を意味する言葉であり、あまり馴染みないこの二文字には出版のルーツが込められています。今回は「上梓」の意味と使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「上梓」とは?
  2. 「上梓」の使い方
  3. 「上梓」の文例
  4. 「上梓」の類語

「上梓」とは?

「上梓」とは、①文字などを版木に刻むこと。②書物を出版することを意味する言葉です。現代では①の意味で使うことはほとんどありません。

出版という意味での「上梓」の対象は、書籍です。書籍には、図鑑や写真集などその幅は広く電子書籍も含み、個人の自費出版物も含まれます。しかし、新聞や小冊子などの印刷物には使用しません

また、「上梓」という言葉は、新刊本などの広告や書店でのポスターなどで目にすることはありません。そのために、「上梓」が一般にあまり知られていないのかもしれませんね。

「上梓」の由来など

昔、中国では、「梓」(あずさ)の木を版木として文字を刻み、印刷していました。これが「梓に上(のぼ)す」と表現され、「上梓」という言葉になり、印刷を意味するようにもなりました。

なお、梓の木の別名は「キササゲ」。かつての中国では優れた良木として、多くの家に植えられていたそうです。また、日本では1970年代に人名漢字として使えるようになり、女の子に「梓」という名前をつけることが流行った時期もありました。

「上梓」の使い方

出版社は、広告・宣伝では「上梓」を用いず、出版・刊行・発刊などの言葉を使います。とはいえ、紹介文などで「上梓」が使われたり、消費者側が出版本を「上梓された本」と表現するケースはあります。

「上梓」は、書物の著者が使う頻度の高い言葉です。たとえば出版された自分の本について著者が言及する際に、「このたび上梓致しました拙著(せっちょ)」などと表現します。また、他者が著者に対して、著書出版を「ご上梓」と表現することもよくあります。

「上梓」の文例

  • 6月に上梓いたしました拙著『生活システムの再構築』を謹呈(きんてい)させていただきます。
  • 来月、A出版社から、最新の宇宙図鑑が上梓されるようだ。
  • このたびは、素晴らしい絵本のご上梓、おめでとうございます。
  • 村上先生が当社でご上梓なさった最新刊は、おって文庫化される予定でございます。

「上梓」の類語

「出版」の意味と文例

「出版」(しゅっぱん)とは、文章・図画・写真などを印刷して販売、頒布(はんぷ)することを意味する言葉で、商業出版と自費出版があります。また、デジタルデータの制作、販売も含まれます。

【文例】

  • 今年は、ウイルスに関する書籍の出版が相次いだ。
  • 昨年、私は、長年の俳句作品をまとめて俳句集を自費出版しました。
  • 昨年、私の個人出版社では、A氏の俳句集を出版しました。

「刊行」の意味と文例

「刊行」(かんこう)とは、書籍・文書・図画などを印刷して世に出すこと、出版することを意味する言葉です。出版とまったく同義の類語です。ただし、商業刊行、自費刊行という使い方はされていません。

【文例】秋には、昭和の作家を中心とした日本文学全集を刊行いたします。

「公刊」の意味と文例

「公刊」(こうかん)とは、出版物として刊行し、世間一般に広く公にすることです。「刊行」と同義の言葉です。

【文例】

  • 今度、はじめて同人誌を公刊することになった。
  • 去年、公刊した論文集の一部に盗作疑惑がかけられて、出版社が回収を始めたらしい。


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