「変革」とは？
「変革」は、（へんかく）と読みます。日常会話で使うにはちょっと硬い表現ですが、社会生活やビジネスシーンではしばしば見聞きする言葉です。
「変革」とは、物事、事象を変えて新しいものや状態にすること、また、変化して新しいものになること、変わること、改革を意味する言葉です。
「変」の字義
「変」の音読みは（へん）、訓読みは（か-わる。か-える）です。字義は、以下の通りです。「変革」の「変」は、 ①の意味で用いられています。
- 移り変わる。変わる。変える。
- 普通でない。
- 政治上の事件や内乱などのこと（「○○事変」など）。
- 不思議で異常な出来事（「変事」など）。
「革」の字義
「革」は、音読みが（かく）、訓読みが（かわ、あらた-まる、あらた-める）。意味は、①かわ、なめしがわ。②新しくする、あらたまる、あらためるなどで、「変革」の「革」は②の意味によります。
「革（かわ）」と「新しくする」という意味には関連性があります。革（かわ）は、動物の皮から毛を取り去って陰干しした状態のものを指し、干された「革」のかたち（上部が二本の角と頭部と手、中央が腹部、下部は二本の足、最下部は尻尾）を表す象形文字です。
たるんだ革をピンと伸ばして干すことから、たるんだ状態を変えるという意味に転じ、「新しくする。あらためる」という2つ目の意味を持ったのです。その由来を知ると、「革」の「新しくする」力にも迫力を感じますね。
「変革」の使い方
「変革」は、たんに物事を変えるのみならず、「革」の「新しくする」という意味が強く反映される言葉です。物事を根本から変える、もしくはまったく新しいものに変わるという意味で使われていることに留意しましょう。
言い回しとしては、名詞に直接不随させるかたちの（例：自己変革）や、～の変革、～を変革する、変革を～するというかたちの（例：変革を進める）などがあります。
「変革」の文例
- 鈴木君は、さまざまな困難を乗り越えて、素晴らしい自己変革を遂（と）げた人物だ。
- 温暖化による災害の規模が年々大きくなるにつれ、環境問題に対する人々の意識の変革も起きている。
- 根強い人種差別問題を変革しようと、大規模なデモが各国で繰り広げられている。
- 私は、構造的な格差社会を変革するために、政治家を目指す決意をした。
「変革」の類語
「革新」の意味と使い方
「革新」（かくしん）は、従来の制度、組織、習慣、方法、考え方などを改めて新しくすることを意味します。「変革」ときわめて近い言葉ですが、「革新」は新たにすることに、「変革」は変えることにより重点があります。
政治の世界では、「革新」はきわめて重要な言葉です。社会制度や政治組織を変えようとする勢力を指し、「保守」対「革新」などと区分されます。政治団体や党名に「革新」が冠されることが多いのはそのためです。
【文例】
- 利権や忖度（そんたく）にまみれた政治を革新していくべきだと、多くの国民が感じている。
- 技術革新によって記録媒体（USBメモリーなど）がどんどん小さくなり、今では紛失防止のために大きなストラップをつけたりしている。
「改革」の意味と使い方
「改革」（かいかく）は、「変えて改めてゆく」という意味においては「変革」の類語足りえますが、異なる部分もありますので、その点をはっきり理解して使い分けましょう。
「改革」は、もともとあるものや従来の制度などの悪い部分を改め、より良いものにしていくことです。「変革」が根本的な変化に根差すのに比して、「改革」は、制度などの枠組みや基本は残したうえで改良するという点がポイントです。
【文例】
- 現代社会では、労働時間、勤務形態などを含めた大規模な働き方改革が進行中だ。
- 少子高齢社会を迎えて、社会保障制度改革が急務の課題となっている。