「赤子の手をひねる」とは?意味や使い方を例文を含めてご紹介

子育て経験のある方は、子どもの腕はすぐに抜けてしまうので強く引っ張らないようにと聞いたことがあるかもしれません。赤ちゃんの手をひねるなんて怖くて考えられないでしょうが、ことわざでは「たとえ」として用いられています。今回は「赤子の手をひねる」について解説します。

目次

  1. 「赤子の手をひねる」とは?
  2. 「赤子の手をひねる」使い方
  3. 類語「鎧袖一触」
  4. 「赤子」が使われたことわざ

「赤子の手をひねる」とは?

「赤子(あかご)の手をひねる」とは、次のような意味のことわざです。

  • 力のないものや抵抗をしないものを簡単に負かしてしまう様子。
  • 物事をとても簡単に行うことのできる様子。

「赤子」は、体が赤みを帯びている様子から、赤ちゃんを指します。力がなく、抵抗しない赤ちゃんの手なら簡単にひねることができる、ということのたとえです。よって、それぞれが持つ力の差がとても大きいときに使われます。

「ひねる」を漢字にして「赤子の手を捻(ひね)る」と書くこともあります。また、「赤子の手をねじる」、「赤子のをひねる」など、意味は同じですが、少しずつ異なる表現も存在します。

「赤子の手をひねる」使い方

  • 甲子園に出場したこともある北高の野球部に、新設して間もない南高の野球部が練習試合を挑んできた。言っては何だが、北高にとっては赤子の手をひねるようなものだろう。
  • 中世、資源や人材が豊富で、さらに技術の発展した大国にとって、近隣の国を征服することなど赤子の手をひねるように簡単なことだった。
  • 学年トップの成績を持つ彼女にとっては、今回行われた去年の振り返りテストなんて赤子の手をひねるようなものだったに違いない。

類語「鎧袖一触」

鎧袖一触(がいしゅういっしょく)は、相手を簡単に負かしてしまう様子をたとえた言葉です。「鎧袖」は鎧(よろい)の袖のことで、「一触」はほんの少し触れること、一度払いのけることを言います。

鎧の袖がほんの少し触れただけで敵が簡単に倒れてしまうことから、その鎧を着た人物の強さを感じられそうですね。

「相手を簡単に負かす」という意味では「赤子の手をひねる」の類語と言えるでしょう。しかし、その理由は「相手が弱いから」ではなく、「圧倒的に強い力を持っているから」というイメージです。この部分については、少し相違があると考えられます。

【例文】
校内で開かれたサッカー大会で、三年生のチームが一年生のチームにまったく得点を許さず、観客はその鎧袖一触の強さに圧倒された。

「鎧袖一触」由来

出典は、江戸時代後期の歴史家である頼山陽(らいさんよう)の著書『日本外史(にほんがいし)』です。源為朝(みなもとのためとも)が、保元の乱で、崇徳上皇(すとくじょうこう)側に加わるときに述べたとされる次の一文があります。
 

「清盛輩の如きに至りては、臣が鎧袖一触、皆自ら倒れんのみ」
訳:清盛たちのような連中は、私の鎧の袖がほんの少し触れただけでみんな勝手に倒れてしまう。」

「清盛」は平清盛のことで、崇徳上皇と敵対する後白河天皇の側についていました。このような言葉を残したものの、実際には崇徳上皇側が負け、上皇は隠岐に、源為朝は伊豆に流されることになってしまいます。

「赤子」が使われたことわざ

「赤子の手をひねる」のほかにも、「赤子」を使ったことわざがいくつかあります。赤ちゃんならではの特徴をさまざまな視点から捉えたものが多いですね。

【赤子を裸にしたよう】
力がなく弱弱しいものを、さらに弱弱しく、頼りなくした様子。

【赤子は泣き泣き育つ】
健康な赤ちゃんはよく泣くものであり、泣きながら大きくなっていくのだということ。「泣く子は育つ」と同じ意味。

【赤子のうちは七国七里(ななくにななさと)の者に似る】
赤ちゃんのうちは、見ようと思って見れば、いろいろなところのいろいろな人に似ているように見えるということ。「七国七里」は、あちらこちら、いろいろなところのたとえ。成長とともに、赤ちゃんの顔つきが変化していく様子をうまく言い表した感じがあります。

【赤子と搗(つ)きかけの餅は手荒いが良い】
赤ちゃんは、あまり大事にし過ぎてしまうとじょうぶに育たない。餅つきのときの餅のように、多少は手荒く扱ったほうが元気に大きくなるものだ、ということ。

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