「対峙」とは?意味や使い方を類語を含めてご紹介

「対峙」は、読み方が難しい言葉のひとつです。日常会話ではまず使わないため意味も把握しづらいことでしょう。とはいえ、あらたまった文章やビジネスの場では使われますので、知っておくと有益です。今回は「対峙」の意味と使い方を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「対峙」とは?
  2. 「対峙」の使い方
  3. 「対峙」の類語
  4. 「対峙」のまとめ

「対峙」とは?

「対峙」(たいじ)と読みます。「峙」という字はほとんど目にすることがありません。読み方も難しく、日常会話でも使われることは少ない言葉ですから意味も分かりにくいでしょう。とはいえ、小説やあらたまった文章、ビジネスシーンなどでは使われることもままあります。

「対峙」には、2つの意味があります。①山などが相対してそびえ立つこと。対立関係にある者どうしが向かい合い、にらみ合ったままでじっと動かずにいること。

そして、これらの意味から派生して、「自分と対峙する」「恐怖心と対峙する」などのように、対象とじっくり向かい合うこと、深く見つめ、考えをいたすこと、などの意味で使われることがあります。

「対峙」の使い方

①の意味では、山など自然界の大きなもの、そびえ立ち動かないものであれば「対峙」を用いることができます。②の意味では、人間同士、対立する軍勢、にらみあう動物などさまざまな例が挙げられますが、基本的には集団などの大きな存在に使われることが多いでしょう。

例えば、二匹のハムスターが対峙する、などと書いたらなんとも不自然ですが、二頭の恐竜、二頭の象などであれば、対峙するという表現はぴったりとはまります。

「自己との対峙」などの例では、対象をより深く見つめて考える、真剣に向き合って取り組む、見つめ直す、などのニュアンスになります。対象としては、葛藤(かっとう)、難問、困難、他者との関係性、なども挙げることができます。

「対峙」の文例

  • 私の故郷では、川を隔(へだ)てて2つの山が対峙する壮大な風景を楽しむことができる。
  • 村民たちは、ある土地の所有をめぐって二手にわかれ、一触即発の気配で対峙していた。
  • 二頭の巨象が夕日をあびて対峙している光景は、神秘的でさえあった。
  • 二度目の離婚をするか否かで悩む真里さんは、深夜ひとり、自分と対峙していた。

「対峙」の類語

「相対する」の意味と使い方

「相対する」は、(あいたいする)と読みます。意味は①互いに向かい合い、直面する。②対立する、互いに反対の立場に立つです。

2つの存在が対立して向かい合う、という意味においての意味が、真剣に取り組む、向かい合う、という意味においては①の意味が、それぞれ「対峙」の類語と言えるでしょう。

【文例】

  • 営業方針において相対する二人の課長は、徹底的に議論する場を設けることとなった。
  • 友人ができては喧嘩(けんか)別れしてしまう鈴木君は、時にはじっくり自分と相対する時間を持つべきではないだろうか。

「向き合う」の意味と使い方

「向き合う」は、2つの意味を持ちます。①互いに正面から相対する。②対象とするものや事態を直視し、深く真剣に考えるです。

「対峙」に含まれる、敵対し、にらみ合う、というニュアンスはまったくありませんが、それ以外の意味においては類語足りえる言葉です。

【文例】

  • 高い2つの山が向き合ってそびえる風景は、なかなか圧巻だ。
  • 大きなプロジェクトが終了した今、少々長い休暇をとって自分と向き合う旅に出るつもりだ。

「対峙」のまとめ

言葉は時代とともに意味も使われ方も変化します。「対峙」の場合、「山が向かい合ってそびえる」という元の意味で用いられることは少なくなりました。

「敵対する者同士がにらみ合って動かずに」という意味でも使用頻度は減っているのではないでしょうか。近年は、「自分と対峙する」「困難と対峙する」など、「真剣に見つめる(向き合う)」という意味での使われ方が増えているようです。

価値観も生き方も多様化する現代では、「自己との対峙」がひとつのキーワードなのかもしれませんね。


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