「知る由もない」とは？意味や使い方を例文を含めてご紹介

「知る由もない」（しるよしもない）とは、「知るための手掛かりも、方法もない」という意味の言葉です。

「由」（よし）とは、「より、から」（例：経由）や、「わけ」（例：理由）、「よる」（例：由縁）などの意味であり、「知る由」とは広く「知る方法、由来、理由」などを表します。

「知る由」を、助詞の「も」で意味を強め、それがまったく、ひとつも「ない」と言ったものが「知る由もない」です。

「知る由もない」は、主に「（これから起こる出来事を）まだ知る由もなかった」、「（知りようもない）真実を知る由もない」といった形で使います。

「未来の出来事」は、「知る由」が得られにくい代表例といえます。また、個人が得られる情報は世界全体に存在する情報に比べればわずかなものですから、「真実」や「秘密」などといった情報概念も一般的に「知る由」がない傾向にあると言えるでしょう。

さらに、特に小説など創作物の中では、物語として何が起こるか・起こったかという筋書きはもちろん用意されているものの、登場人物の視点では「知る由もない（なかった）」といった状況描写が用いられることもあります。

• 急ぎその船に飛び乗った彼だが、その先に世界を股にかけた長い冒険が待ち受けていることを、まだ知る由もなかった。
• 〇〇事件の裏側でこんな陰謀がうごめいていたなんて、一般人は知る由もないだろう。
• その時間、ずっと昼寝をしていた俺が、外で何が起きたかなんて知る由もない。

「知る由もない」の反対は「知る由もある」？と直感的には考えがちですが、このような言い方はほとんどされません。

ある話題について「知っている」「知ることができる」場合にはわざわざ「由」について言及する必要がないというのがひとつの理由と考えられます。あるいは、そもそも「知る由」は「（まったく）ない」と言うための言葉と考えても良いでしょう。

どうしても「知る由」が「ある」と言いたい場合には、「手がかりがある」「糸口をつかむ」などの表現が適しています。