「甲乙つけがたい」とは?意味や使い方をご紹介

見事な出来栄えであってその評価に本当に困ってしまう。どちらを採用したらよいのか迷ってしまう。このような時に「甲乙つけがたい」という表現をよく使いますね。こちらの記事では、「甲乙つけがたい」の意味や使い方を、語源や類語などを含めて紹介します。

目次

  1. 「甲乙つけがたい」とは
  2. 「甲乙つけがたい」の語源
  3. 「甲乙つけがたい」の使い方
  4. 「甲乙つけがたい」の類語
  5. 「甲乙」が使われた言葉

「甲乙つけがたい」とは

どちらを1位にするのか、または、どちらを採用するのか。悩んでしまう。うれしい悲鳴です。皆さんも経験があるのではないでしょうか?

「甲乙つけがたい」は、「甲乙」という語を例えとして「二つのもののうち、どれが優れているのか決めることがむずかしい」という意味です。「両者の間に差がなく、優劣をつけることがむずかしいさま」を表現しています。「甲乙付け難い」とも表記します。

「甲乙つけがたい」の語源

「甲乙」とは、中国古代思想から生まれた十干(じっかん)の数詞のことです。十干の中では、「甲」は第1番、「乙」は第2番となっています。かつては、学校の成績表などで評価の順位をつける際に使われていました。

成績の順位付は数字で表すよりも「甲乙」のように文字を使う場合があります。よく使われているのが、「優、良、可、不可」や「A、B、C、D」などです。

「甲乙つけがたい」の使い方

「甲乙つけがたい」は、スポーツの試合などで「どちらにも差がなく順位をつけられない」場面で使われています。
 

  • 決勝まで残った二人の演技は甲乙つけがたいほど素晴らしかった。
  • 先生は夏休みの自由研究の評価に悩んでいる。力作ぞろいで甲乙つけがたいからです。
  • この試合は高校野球の歴史に残るほど甲乙つけがたい名勝負です。
  • 甲乙つけがたい料理の数々であってどれを食べるのか迷っています。
  • ゴール前わずかな差で勝負がついたが、甲乙つけがたいレースであった。

「甲乙つけがたい」の類語

「実力伯仲」(じつりょくはくちゅう)

「実力伯仲」とは、「実力の差がないため優劣をつけることができない」という意味です。「実力伯仲」を構成する「伯仲」の「伯」は長男、「仲」は次男のことです。長男と次男は年齢に差がなく実力も同じくらいであるので優劣をつけるのはむずかしいという意から由来しています。

【例文】

  • 両者は実力伯仲しているため勝負の行方はわからない。
  • 決勝は実力伯仲の両校の激突です。

「五分五分」

「五分五分」とは、「双方ともに優劣がないこと」という意味です。「互いに優劣や可否がない。半分半分である」ことを表現しています。優劣がつけられないということよりも、「半分半分」という意味が強い言葉です。

【例文】

  • この試合は五分五分の勝負となりそうだ。
  • 今回の手術に体力がもつかどうかは五分五分の状態です。

「負けず劣らず」

「負けず劣らず」とは、「お互いに優劣がつきにくく同程度の状態」という意味です。同じレベルであることを表す点では、「甲乙つけがたい」に似ていますが、そこから優劣をつけかねる状態までには至っていません。

【例文】

  • 兄も弟も負けず劣らずよく勉強していました。
  • 彼は、二番手投手であるが、負けず劣らずの好投を続けた。

「拮抗する」(きっこうする)

「拮抗する」とは、「勢力などがほぼ同等の者どうしが互いに競り合って優劣のないこと」という意味です。この言葉も「優劣がなく同等のレベルを表す状態」までとなっています。

【例文】

  • 我が国は、勢力が拮抗する二つの大国に囲まれている。
  • この試合は、両チームともに実力が拮抗しているため接戦となります。

「甲乙」が使われた言葉

「甲乙」を使った言葉は、以下のようにたくさんあります。

「甲論乙駁」(こうろんおつばく)

「甲論乙駁」とは、「互いにあれこれ主張して議論がまとまらない」という意味です。「甲の人が論ずると、乙の人が反対する(反駁する)というように議論がいろいろと出る」という意から由来しています。

【例文】

  • 国会は、与野党の勢力が伯仲しているため、甲論乙駁となって審議が進まない。
  • 甲論乙駁な議論はやめて前向きな議論にもっていきましょう。

「甲乙つける」

「甲乙つける」とは、「人や物の間の優劣を判断する」という意味です。「二つのものの優劣をはっきりと明確にすること」を表現しています。

【例文】

  • いよいよ決勝戦です。相手校と甲乙つける時がきました。
  • どちらが政権政党となるのか。次の選挙は甲乙つける選挙です。

「甲乙混和焼酎」(こうおつこんわしょうちゅう)

「甲乙混和焼酎」とは、甲類焼酎と乙類焼酎をブレンドしたもので、乙類焼酎の混和率が5%以上50%未満のものを言います。乙類焼酎の混和率が50%以上95%未満の乙甲混和焼酎もあります。

甲類焼酎は、連続式蒸留機で蒸留を繰り返してすっきりとした味わいとしたものです。また、乙類焼酎は、単式蒸留機による1~2度の蒸留によって、麦、芋、米などさまざまな原料から作られています。

「甲乙人」(こうおつにん)

「甲乙人」とは、「年齢や身分などがいろいろな人。名前をあげるまでもない一般庶民」という意味です。不特定の人をさす時に、「A、B、C」などの記号で表す代わりに、かつては「甲乙」という語によって表現したものです。

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