「紡ぐ」とは?意味や使い方を例文を含めてご紹介

「紡ぐ」という言葉があります。現在では、本来の意味で使われることがずいぶん少なくなり、比喩表現として用いられることが多くなっている言葉です。今回は、この「紡ぐ」という言葉について、意味や使い方を例文も含めてご紹介します。

目次

  1. 「紡ぐ」とは?
  2. 「紡ぐ」の使い方
  3. 「紡ぐ」まとめ

「紡ぐ」とは?

「紡ぐ」は、「つむぐ」と読みます。糸巻きなどの心棒を意味する名詞「錘(つむ)」が動詞化したガ行五段活用の動詞で、意味は以下の2つです。

  1. 綿や繭(まゆ)を錘にかけて繊維を引き出し、縒(よ)りをかけて糸にすること。
  2. (比喩的に)言葉をつなげて文章を作る、多くは、物語や詩歌などを作ることをいう。

「紡ぐ」という言葉は、もともと1の意味で使われていました。グリム童話『眠れる森の美女』で重要な役割を果たす「糸車」とは、上の写真のような道具です。この糸車を使って糸を紡ぎます。

綿糸(めんし)ならば綿花(めんか)の実から取った綿を、絹糸(けんし、きぬいと)ならば蚕の繭を茹でたものから繊維を引き出し、より合わせて「糸」を作る作業が「紡ぐ」です。

「素材」から必要なものを引き出し、それをより合わせて製品にする、というところから転じて、2の意味が生まれました。

「紡ぐ」の使い方

糸を「紡ぐ」

「紡ぐ」という言葉を作った例文をいくつか紹介しておきましょう。1つ目は、寺田寅彦の『糸車』からの引用です。この作品の中では、いわゆる「糸を紡ぐ」という作業を詳細に説明していますので、興味のある方は読んでみてください。
 

自分も子供固有の好奇心から何度か祖母に教わったこの糸車で糸を紡ぐまねをした記憶がある。綿を「打った」のを直径約一センチメートル長さ約二十センチメートルの円筒形に丸めたものを左の手の指先でつまんで持っている。

物語や詩などを「紡ぐ」

言葉をうまく組み合わせて、詩や物語を作ることを表現するのにも「紡ぐ」という言い回しを使います。ただ「作る」と表現するよりも、趣のある雰囲気が感じられますね。

【例文】

  • 彼の朴訥とした語り口調は、独特の世界観を紡ぎだした。
  • 硬質な筆致が紡ぎだす物語は、読者をくぎ付けにした。

「紡ぐ」まとめ

現代を生きる我々にとって、糸を「紡ぐ」という作業は日常的に目にするものではありません。

この言葉が比喩として使われていることは、昔の日本人にとって「糸を紡いでいる光景」が日常的なものであったことを示していると言えるでしょう。言葉の使われ方から文化の移ろいに思いを馳せてみるのも、面白いものですね。


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