「安全マージン」とは?意味や使い方をご紹介

「安全マージン」という言葉をご存知でしょうか?工学系の業種に携わっている方であれば、一度は見聞きしたことがあるかもしれません。社会のそこかしこに「安全マージン」の取り組みがあります。ここでは、「安全マージン」の意味や使い方についてご紹介します。

目次

  1. 「安全マージン」とは?
  2. 「安全マージン」の例
  3. 「安全マージン」の使い方・例文
  4. 「安全マージン」が求められないケース
  5. 「安全マージン」を英語で言うと?

「安全マージン」とは?

「安全マージン」とは、「安全性確保のために持たされているあそび・余裕」という意味の言葉です。

ここで言う「マージン」(margin)とは「余白、欄外」という意味です。実現可能な事柄を限界まで突き詰めるのではなく、安全のために敢えて性能的・心理的な「余白」を残しておくという考え方が「安全マージン」です。

単純に「ゆとり」「あそび」「マージン」と言うこともありますが、「マージン」単独ではビジネス用語で「手数料」「利ざや」を指すことがあるため、安全性にまつわる話題である場合は「安全マージン」と表現しましょう。

「安全マージン」の例

性能的な「安全マージン」

「安全マージン」の思想が広く普及しているのは機械・工学系分野です。例えば、ある機械部品に10kgの負荷がかかることが計算されたとします。では、その部品は「10kgの負荷に耐えられるように」設計すればよいでしょうか?

安全上、これはノーです。あらゆる物質は経年劣化で強度が落ちますし、人間を含め自然の振る舞いは完全には予知できないため、計算以上の過酷な状況・環境にさらされることも考慮しなければなりません。人命に関わる装置の部品であればなおさらです。

経済性や使い勝手の良さ、他の部品とのバランス等を考慮し、例えばその部品の強度を「15kgの負荷に耐えられるように」設計したと仮定すると、その余分の「5kg」が「安全マージン」に該当します。

心理的な「安全マージン」

「安全マージン」には心理的な側面もあります。例えば、あなたがある山に登ろうとしていたと仮定します。しかし急に天候が変わり、その山全体を嵐が襲いました。

あなたは登山のベテランであり、嵐への備えも十分で、体調も万全、過去にこれよりひどい嵐の中をもっと過酷な状況で登ったこともありました。

しかし自然は予測不可能なもの。山はいつでも登れますが、命はひとつです。万が一のリスクを考え、あなたは勇気と英断をもってその日の登山を中止しました。このような心理的な留保も、「安全マージン」の一種です。

「安全マージン」の使い方・例文

  • 私の父は、性能を重視したスポーツカータイプの車よりも、燃費が良く、頑丈で、安全マージンを重視した大衆車を好む。
  • このメーカーの新しい航空機は、いくつかの部品が同時に故障してもある程度は飛び続けられるよう、強度面で安全マージンが取られている。
  • 大きな計画のため、スケジュール作成にはかなりの安全マージンを見込んでいる。問題が起きて納期が遅れるのも織り込み済みだ。
  • 高速道路では、安全マージンのために適切な車間距離を取りましょう。

「安全マージン」が求められないケース

「安全マージン」の考えに基づく安全への取り組みは、社会全体の総意であると考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「安全マージン」が要求されない業界やシーンもあります。

例えば「F1」などのように、マシンカーの性能(速度など)を競う競技などでは、安全マージンによって性能を損なうことは忌避されます。(安全性が完全に無視されるわけではありません)

F1に限らず、限られたシーンで最高の性能を発揮することを求められる各種競技では、安全マージンを限りなく0に近くすることで、「その場における性能の最大化」を優先する場合もあります。

「安全マージン」を英語で言うと?

「安全マージン」を英語で言うと、「safety margin」です。日本語でもそのまま「セーフティ・マージン」と言われることがあります。

例文

  • According to this system, the safety margin required for the time of stall can be ensured.(このシステムによって、失速時の安全マージンが確保できます)


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