「立ち尽くす」とは?意味や使い方を類語を含めてご紹介

「立ち尽くす」と聞くと、どんな立ち姿が思い浮かぶでしょうか。ただ「立つ」場合とは少しイメージが違います。誰しも一度は、人生の岐路で立ち尽くした経験があるかもしれませんね。ここでは、「立ち尽くす」の意味や使い方を、類語も含めてご紹介します。

目次

  1. 「立ち尽くす」とは?
  2. 「立ち尽くす」の使い方
  3. 「立ち尽くす」の類語

「立ち尽くす」とは?

「立ち尽くす」(たちつくす)とは、「いつまでも立っている」「じっと立ったままでいる」という意味の言葉です。

「尽くす」とは、それ自体は「ある限りを出し切る」「終わるまで果たす」「他のもののために努力する」といった意味なのですが、動詞の連用形に付く場合には「すっかり~する」「~しきる」の意味となります。

「立ち」+「尽くす」ですから、「すっかり立ったまま」という状態を表すわけですね。似た構造の表現に「言い尽くす」や「埋め尽くす」があります。

「立ち尽くす」の使い方

「立ち尽くす」という言葉が使われる代表的な状況は、「どうしていいかわからずに立ち尽くす」のように、困惑する・呆然とするなどの理由で「その場に立ち続ける」以外の動作がとれない(とりようがない)状況です。

あるいは、「敢然(かんぜん)と立ち尽くす」のように、自分の強い意志によってその場に強いて立ち続けている、立ちはだかっているというさまを指して使われることもあります。

上記以外でも、「絵の前で立ち尽くす」のようにこれといって要因を言及せず「ただ立っているさま」を表現する場合もありますので、なぜ「立ち尽くし」ているのか、前後の文脈に注意しましょう。

いずれにせよ「立つ」ではなく「立ち尽くす」からには、他の動作・言動(思考も含む)が介入する余地はほとんどない状態であると考えましょう。

「孤独」や「孤高」のニュアンス

「立ち尽くす」には、「孤独」「孤高」のニュアンスが含まれることがあります。周囲の状況から隔絶されて、ひとりだけぽつんと立っているさまをイメージすればわかりやすいかもしれません。

「二人で立ち尽くす」「みんな立ち尽くした」といった使い方もできますが、この場合もやはり「立ち尽くす」主体は、何らかの形でその周囲の状況から離れている場合がほとんどです。

例文

  • 一時間に一本しか来ない電車に乗り遅れてしまった営業マンは、言葉を失ったようにホームに立ち尽くしていた。
  • 砲火と硝煙に満たされた広場で、ひとりの少女が、ひるみもせず兵士たちの眼前に立ち尽くしている。
  • どのくらいの時間が経っただろう。手をつないだ少年と少女は、まだ海のほう見つめて立ち尽くしていた。

「立ち尽くす」の類語

棒立ち

「棒立ち」(ぼうだち)とは、「棒のようにまっすぐ立つこと」という意味の言葉です。曲線だらけの人体が「棒のよう」と喩えられているわけですから、ピンと緊張して立っているさまが浮かびますね。

「棒立ち」となる理由は基本的に驚きや恐怖によるものであり、「立ち尽くす」のように自らの意思で孤高に立つという状態には使えません。

【例文】
ドアの向こうに広がる思いもよらぬ光景に、彼は棒立ちになった。

突っ立つ

「突っ立つ」(つったつ)には以下のような意味があります。

  1. まっすぐに立つ。
  2. 勢いよく立ち上がる。
  3. 何もしないでただ立つ。
  4. 矢などが突き刺さって立つ。

このうち、1と3(下線部)の意味が「立ち尽くす」とよく似ていますね。2の意味のように動的な意味で使われることもありますので、その点だけ注意しましょう。

【例文】
  • 彼は僕に気づいているはずなのに、素知らぬ顔で突っ立っていた。
  • 「突っ立っていないで、はやく仕事して!」と彼女は怒鳴った。

佇む・佇立

「佇む」(たたずむ)とは、「しばらくその場に立っている」という意味の言葉です(古語の中には、「さまよう」「徘徊する」という意味もあります)。これを熟語的に言ったものが「佇立」(ちょりつ)です。

「立ち尽くす」が困惑・呆然といった状況で使われるのが多いのに対し、「佇む」「佇立」はあまり要因を限定せず、「特に何もせず、そこにいた」といった程度のニュアンスで使われます。

【例文】

  • 月夜の庭に、青白いドレスの貴婦人がひとり佇んでいる。
  • 会場の前には、警棒を持った警備員が佇立していた。


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