「たおやめ」の対義語は?意味や使い方をご紹介

「たおやめ」という言葉をご存じでしょうか?知っている方に第2問です。対義語は何でしょう?古語由来の言葉なので、聞き覚えはあるけれども使う機会がない、という方がほとんどでしょう。今回は「たおやめ」の意味とその対義語、使い方をご紹介します。

目次

  1. 「たおやめ」とは
  2. 「たおやめ」の使い方
  3. 「たおやめ」の対義語
  4. 「ますらお」の使い方

「たおやめ」とは

「たおやめ」を漢字で書くと「手弱女」となります。古語の「たをやめ」に由来し、「たおやかな女性」「優美な女性」「優しい女性」という意味を持つ言葉です。「たわやめ」とも言います。

「たおやか」とは、姿・動作などが美しくしなやかなさまを表す言葉です。基本的には女性の美しさを形容する言葉なので、男性にはほとんど使われません。

また、「たおやめ」という言葉には、「浮かれ女」「あそびめ」という意味もあります。いわゆる「遊女」「春をひさぐ女性」という意味ですが、現在ではこちらの意味で使われることは少ないです。

「たおやめ」の使い方

前述のとおり、「たおやめ」とは「女性の優美さ」を褒める表現です。語源としては「撓む(たわむ)」の変化で「手弱女」は当て字である、という説もありますが、一般的には「手弱女」の表記が用いられます。

字面だけを見た場合、あるいは「女性は弱くはかないもの」という価値観を嫌う女性に対して用いた場合、気分を害される恐れもある言葉です。使用する際には十分に注意しましょう。

  • 彼女は「大和撫子(やまとなでしこ)」や「たおやめ」というような古風な表現の似合う、楚々(そそ)とした女性だ。
  • 能登地方には「手弱女桜」という桜がある。女性的で美しい花だよ。

「たおやめ」の対義語

「たおやめ」の対義語は、「ますらお」です。漢字では「益荒男」「丈夫」「大丈夫」などと表記されます。

代表的な意味は以下の3つ、うち「たおやめ」の対義語となるのは1の意味で使われる場合です。

  1. 立派な男。勇気のある強い男
  2. 武人、兵士
  3. 狩人、猟師

「ますらお」の使い方

「たおやめ」と同じく、「ますらお」も現代ではほぼ使われることのない言葉です。文学作品の中に見られる「ますらお」という言葉を紹介しておきましょう。

屈せずして待つがますらおの事なりと言う。(鴎外訳『即興詩人』より)
大伴の氏と名とに負へるますらおの伴『万葉集』

『即興詩人』の例文では「立派な男」、『万葉集』の例文では「兵士」という意味で「ますらお」が使用されています。

「ますらおぶり」

ますらおぶり(益荒男振り、丈夫風)」とは、男性的でおおらかな歌風(和歌の詠み方)を指す言葉です。江戸時代の国学者、賀茂真淵(かものまぶち)が和歌の理想形として捉えていました。

賀茂真淵は、『万葉集』の和歌に「ますらおぶり」を見出し、それこそが和歌の本道、戻るべき原点であると説いています。

「たおやめぶり」

たおやめぶり(手弱女振り)」とは、古今集以後の勅撰集に広くみられる和歌の詠みぶりです。女性的で優美・繊細な歌風を表します。

賀茂真淵が使いだしたとされている言葉で、万葉集の男性的な歌風「ますらおぶり」と対比した表現です。賀茂真淵自身は、万葉集を理想としていたため、「たおやめぶり」は、やや非難をこめたニュアンスで用いています。

なお、賀茂真淵の弟子である本居宣長(もとおりのりなが)は、源氏物語を高く評価し、「たおやめぶり」も日本文化の重要な流れである、と説いています。

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