申し受けるとは?申し受けるの意味
「受け取る」「受ける」「依頼される」という意味の謙譲語で、自分や自分側の行為をへりくだって表現する丁寧な言い方です。
申し受けるの説明
「申し受ける」は、「申す」と「受ける」の二語から成り立っており、特にビジネス上の取引や金銭の受け渡しなど、相手に負担をかける可能性がある場面で用いられます。例えば、キャンセル料や会費、罰金などを請求する際に使用することで、相手への配慮を示しながらも必要な手続きを伝えることができます。謙譲語を使わずに単に「料金が発生します」と言うよりも、ずっと丁寧で印象が良いですよね。また、この表現は古語の「申し受く」から派生しており、昔からお願いごとを引き受ける際の丁寧な表現として親しまれてきました。
ビジネスで使えると一目置かれる、丁寧でスマートな表現ですね!
申し受けるの由来・語源
「申し受ける」の語源は、古語の「申す(もうす)」と「受く(うく)」の組み合わせに遡ります。「申す」は「言う」の謙譲語として知られますが、元々は神様への祈りや願いを伝える意味で使われていました。一方「受く」は現代の「受ける」に相当し、これらが結合して「謹んで受け取る」「お引き受けする」という謙遜のニュアンスを持つ表現となりました。中世の武家社会や商家で、目上の人から物や依頼を受ける際の丁寧な表現として発達し、現代のビジネス敬語へと継承されています。
日本の丁寧な文化を象徴する、美しい響きの言葉ですね!
申し受けるの豆知識
面白いことに「申し受ける」は、金銭の受け取りに限らず、依頼や命令を受ける場合にも使われます。また、関西地方では「お申し付けください」との組み合わせでよく用いられる傾向があります。国際的なビジネスシーンでは、英語の"we humbly accept"に近いニュアンスですが、日本独自の謙譲文化を反映した独特の表現と言えるでしょう。さらに、この言葉は法律文書や契約書でも見られ、正式な場面で重宝される特徴があります。
申し受けるのエピソード・逸話
有名なエピソードとして、トヨタ自動車の豊田章男社長(当時)が、ある記者会見で新型車の予約受付について「お客様からのご予約を謹んで申し受けます」と発言したことがあります。この丁寧な表現が話題となり、多くの企業で顧客対応のマナーとして見直されるきっかけとなりました。また、伝説的な弁護士である故・中坊公平氏は、難事件を引き受ける際に「ご依頼、確かに申し受けました」と必ず口にしていたといわれ、その誠実な姿勢が多くのクライアントから信頼を得ていました。
申し受けるの言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「申し受ける」は「謙譲語Ⅰ」に分類される複合敬語表現です。話し手が自分側の行為をへりくだることで、相対的に相手を高める機能を持ちます。形態論的には、補助動詞「申す」が本動詞「受ける」に接続する複合動詞の構造を成しています。社会言語学的には、日本の縦社会構造を反映した表現で、特にビジネス場面における権力関係や役割関係を言語化した典型的な例と言えます。また、この表現は「申し上げる」「申し伝える」など、「申し~」型の謙譲語群を形成しており、日本語の敬語体系の中でも生産性の高いパターンの一つです。
申し受けるの例文
- 1 急なキャンセルで申し訳ありませんが、規定に基づきキャンセル料を申し受けますと伝えるとき、内心では本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです
- 2 大切な書類をお預かりする際、『確かに申し受けました』と言いながら、責任の重さをひしひしと感じる瞬間があります
- 3 お客様からの苦情を申し受けるとき、丁寧に対応しながらも、内心ではどうすればより良い解決ができるか真剣に考えてしまいます
- 4 新年会の会費を申し受ける係になると、みんなから集金するのが少し気まずく感じるのは私だけではないはずです
- 5 上司からの難しい任務を『確かに申し受けました』と答えた後、どうやって達成しようかと頭を悩ませるあの感じ、共感してくれる方も多いのでは
「申し受ける」の使い分けと注意点
「申し受ける」は丁寧な表現ですが、使い方には細かいニュアンスがあります。状況に応じて適切に使い分けることで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
- 金銭の受け取り(会費、料金、罰金など)
- 重要な書類や物品の受領
- 目上の方からの依頼や指示の承諾
- 公式な場面での業務引き受け
- 親しい間柄では堅苦しすぎる印象を与える可能性あり
- 電子メールでは文脈を明確にすることが重要
- 話し言葉では「承ります」の方が自然な場合も
- 過度に使用すると慇懃無礼に受け取られる恐れあり
関連用語と類語の比較
「申し受ける」には多くの類語がありますが、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。適切な場面で正しく使い分けましょう。
| 用語 | 意味合い | 使用場面 |
|---|---|---|
| 申し受ける | 謙譲語、丁寧な受け取り | 格式ばったビジネスシーン |
| 承る | 広い意味での引き受け | 一般的な業務対応 |
| 拝受する | より改まった受け取り | 重要書類の受領 |
| 受領する | 中立的な受け取り | 事務的な連絡 |
| 引き受ける | 責任を持って受け持つ | 任務や役割の承諾 |
敬語は相手を敬う心が大切。形だけの丁寧語より、心のこもった普通語の方が良い場合もある
— 金田一春彦
現代における使用実態と変化
デジタル化が進む現代社会において、「申し受ける」の使用頻度や使われ方にも変化が見られます。特に若年層を中心とした言語の簡素化の流れの中で、この表現の位置付けが変わってきています。
- メールやチャットでは「承りました」がより頻繁に使用
- 電話対応では依然として「申し受けます」が好まれる
- 国際企業では英語表現との併用が増加
- 業界によって使用頻度に大きな差がある(金融・法律では多用)
しかしながら、格式を重んじる業界や公式文書では、今後も「申し受ける」の重要性は変わりません。デジタルとアナログのバランスを取りながら、状況に応じた適切な使用が求められています。
よくある質問(FAQ)
「申し受ける」と「受け取る」の違いは何ですか?
「受け取る」が単なる物理的な受け取り行為を表すのに対し、「申し受ける」は謙譲語として、目上の方から物や依頼を謹んで受け取るという丁寧なニュアンスがあります。ビジネスシーンなど格式ばった場面で使われるのが特徴です。
「申し受ける」はどんな場面で使うのが適切ですか?
主に金銭の受け取り(会費、料金など)、書類の受領、依頼や指示の承諾など、公式な場面で使用します。特に相手に負担をかける内容を伝える際に、丁寧な印象を与えることができます。
メールで「申し受ける」を使う場合の注意点は?
メールでは「ご依頼の件、確かに申し受けました」のように、件名や本文で明確に伝えることが大切です。ただし、親しい間柄の場合はやや堅苦しくなるため、状況に応じて「承りました」などを使い分けると良いでしょう。
「申し受ける」を使うことで失礼になることはありますか?
基本的に丁寧な表現ですが、場合によっては慇懃無礼に受け取られる可能性もあります。特に相手が気軽なやり取りを期待している場面では、適度な敬語を使い分ける配慮が必要です。
「申し受ける」の類語にはどんなものがありますか?
「承る」「拝受する」「受領する」などが類語として挙げられます。ただし、「承る」はより広い意味で使われ、「拝受する」はより改まった場面で用いられるなど、細かいニュアンスの違いがあります。