矍鑠(かくしゃく)とは?矍鑠(かくしゃく)の意味
年を取っても心身ともに元気で活力にあふれている様子
矍鑠(かくしゃく)の説明
「矍鑠」は、高齢でありながら若者にも負けないほどの元気さや活力を持っている状態を表す言葉です。特に「矍鑠たる」や「矍鑠と」といった形で使われ、年齢を重ねてもなお意欲的で活発な人を形容するのに適しています。語源は中国の故事にあり、後漢の将軍・馬援が老いてなお甲冑を着て馬に乗る姿を見せたエピソードに由来します。この言葉は、単なる健康状態だけでなく、精神的な若々しさも含んだニュアンスを持っているのが特徴です。
こんな素敵な言葉があるなんて!年齢に関係なく輝いている人にぜひ使ってみたいですね。
矍鑠(かくしゃく)の由来・語源
「矍鑠」の語源は中国後漢時代の故事に遡ります。62歳の将軍・馬援が、光武帝に戦への従軍を志願した際、高齢を理由に断られました。そこで馬援は甲冑を着て馬に乗る実演を見せ、その元気さに感心した光武帝が「矍鑠たるかな、この翁(おきな)」と称賛したという『後漢書』の記述が由来です。興味深いのは、「矍」と「鑠」の漢字自体には元気な意味が含まれていないこと。これは当時の擬態語的な表現が定着したものと考えられています。
こんな素敵な言葉が廃れずに残ってほしいですね。年齢に関係なく輝く人を形容する最高の表現です。
矍鑠(かくしゃく)の豆知識
「矍鑠」は画数が多く、「矍」が20画、「鑠」が23画もあり、合わせて43画にもなります。この複雑さから、現代ではあまり使われなくなった一因とも言えるでしょう。また、この言葉は主に男性に対して使われる傾向があり、女性の場合は「達者」や「お元気で」など別の表現が好まれることが多いようです。さらに面白いのは、医学的に見ても「矍鑠」な高齢者は、認知機能や身体機能が良好で、実際に健康寿命が長いという研究結果もあります。
矍鑠(かくしゃく)のエピソード・逸話
日本の著名人では、作家の曽野綾子さんが「矍鑠」の好例です。90歳を超えてもなお精力的に執筆活動を続け、アフリカでのボランティア活動にも取り組んでいます。また、女優の森光子さんは80代後半まで舞台で激しいダンスを披露し、まさに「矍鑠たる」姿を見せていました。海外では、90代で現役の建築家として活躍するオスカー・ニーマイヤーや、100歳を過ぎても現役の医師として働いていた日野原重明先生などが「矍鑠」の体現者と言えるでしょう。
矍鑠(かくしゃく)の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「矍鑠」は漢語由来の形容動詞であり、日本語における漢語の受容の好例です。音読みの「かくしゃく」という語感が、元気で勢いのある様子を効果的に表現しています。また、この言葉は「矍鑠たる」「矍鑠と」のように、文語的な表現として現代に残っている点も特徴的です。歴史的には、室町時代から江戸時代にかけて教養層の間で使われ、明治期の文語文でも好んで用いられました。現代では使用頻度が減ったものの、新聞や改まった文章では依然として使われる、格式高い表現となっています。
矍鑠(かくしゃく)の例文
- 1 定年退職した父が、毎朝5時に起きて地域の清掃活動に参加している。近所の人から『お父さん、本当に矍鑠としてらっしゃるね』と言われると、なんだか嬉しくなる。
- 2 80歳を過ぎた祖母が、スマホでZOOMの使い方をマスターして孫とビデオ通話。新しい技術にも臆せず挑戦するその姿は、まさに矍鑠たるものだ。
- 3 町内会の会長をしているおじいちゃん、階段の上り下りが辛いと言いながらも、祭りの準備では誰よりも元気に動き回っている。あの矍鑠ぶりには頭が下がる。
- 4 還暦過ぎてから始めたゴルフに夢中な上司。『年齢は数字だけど、気持ちはまだまだ現役だ』と言いながら矍鑠とプレーする姿に、つい応援したくなる。
- 5 マンションの大家さん、90歳だというのに毎朝ウォーキングを欠かさず、私たち若者よりよっぽど元気。『長生きのコツは、動き続けることだよ』という矍鑠とした笑顔が印象的だ。
「矍鑠」の正しい使い方と注意点
「矍鑠」は敬意を込めた表現ですが、使い方には細心の注意が必要です。特に相手の年齢や健康状態を直接指す言葉なので、適切な文脈で使うことが大切です。
- 目上の方への敬意表現として使う(例:『先生は90歳になられても矍鑠としておられます』)
- 第三者のことを話すときに使用する(直接本人に『あなたは矍鑠ですね』と言うのは避ける)
- 実際に元気な様子が確認できる場合に限って使用する
- 文章語や改まったスピーチで使うのが適切
注意点として、高齢であることを強調しすぎないように配慮が必要です。相手によっては、年齢をことさらに指摘されていると感じる可能性もあります。
関連用語と使い分け
| 言葉 | 意味 | 使い分けのポイント |
|---|---|---|
| 矍鑠 | 高齢者が心身ともに元気な様子 | 格式ばった表現、特に称賛の意を込めて |
| 達者 | 年齢に関係なく健康で丈夫 | 日常的な会話で気軽に使える |
| 老健 | 老いてなお健やか | やや古風な表現、文章語向け |
| 壮健 | 体が丈夫で健康 | 年齢制限なく使える一般的な表現 |
「矍鑠」はこれらの類語の中でも特に格式が高く、相手を尊敬する気持ちが強い表現です。状況や相手との関係性に応じて、適切な言葉を選びましょう。
現代社会における「矍鑠」の意義
超高齢社会を迎えた現代日本において、「矍鑠」という言葉は新たな意義を持ち始めています。平均寿命が延伸する中で、単に長生きするだけでなく、いかに元気に年を重ねるかが重要視されるようになりました。
人生100年時代、矍鑠たる生き方は単なる長寿ではなく、質の高い生活を意味する
— 老年学研究者
この言葉は、高齢者が社会で活躍するロールモデルを称える際にもよく使われます。シニア起業家や高齢のボランティア、生涯現役の職人など、年齢に関わらず輝く人々を表現するのに最適な言葉です。
よくある質問(FAQ)
「矍鑠」はどのような場面で使うのが適切ですか?
主に高齢でありながらも心身ともに元気で活発な人を称賛する場面で使われます。例えば、年配の方が趣味やボランティア活動を積極的に行っている様子や、若者にも負けないエネルギーを持っている場合などに、敬意を込めて使用するのが適切です。
「矍鑠」と「達者」の違いは何ですか?
「矍鑠」は特に高齢者が元気な様子を指すのに対し、「達者」は年齢に関係なく健康で丈夫な状態を表します。また「矍鑠」は格式ばった表現で、相手を称えるニュアンスが強いのが特徴です。「達者」はより日常的で気軽な表現として使われます。
「矍鑠」は女性にも使えますか?
はい、性別に関係なく使用できます。例えば「矍鑠とした老婦人」のように、高齢ながらも元気な女性に対しても使われます。ただし、実際の使用例では男性に対して使われることがやや多い傾向があります。
「矍鑠」の反対語は何ですか?
明確な反対語はありませんが、「老衰」や「衰弱」など、加齢に伴う心身の衰えを表す言葉が対照的な概念と言えます。また「耄碌(もうろく)」も、高齢で判断力が衰えた状態を指し、矍鑠とは反対の意味合いを持ちます。
「矍鑠」は日常会話で使われますか?
現代ではやや格式ばった表現のため、日常会話で使われることは少なめです。主に文章語や改まったスピーチ、新聞記事などで見かけられます。ただし、年配の方への敬意を表したい場面では、意識的に使うことで好印象を与えることもできます。