「思料」とは?意味や使い方をご紹介

「思料」(しりょう)という言葉をご存知でしょうか。日常で使われる機会はあまり多くなく、公的な書類や法律関係者の用語などとして使用されることの多い言葉です。同義語として「思量」と書かれることもあります。ここでは、「思料」の意味や使い方についてご紹介します。

目次

  1. 「思料」の意味
  2. 「思料」の使い方
  3. 法律の条文に登場する「思料」

「思料」の意味

「思料」(しりょう)とは、「思いはかること、考えること」という意味の言葉です。

主に公文書などで法曹関係者が使う言葉なのですが、日常語で言うところの「思う」や「考える」と意味そのものの違いはありません。したがって、「思料する」という言説を見かけた場合、「考える(思う)」という意味で受け取って問題ありません。

なお、辞書によっては「思料」と「思量」(しりょう)を同義語として扱っている場合があり、本記事でも同じ意義の語として扱います。

「思」と「料」

「思料」の「思」は思うこと。「料」は「米をますではかる」意から、「はかる」「数を数える」「おしはかる」「考える」「推量する」など多彩な意味を持ちますが、「思料」の場合は「考える、推量する」の意味であると捉えましょう。

以上の事柄から、「思料」を簡単に言い換えるとすれば、「しっかり思いをめぐらせ、考えること」であるといえます。

「思料」の使い方

主に法曹関係者が使う言葉

「思料」(思量)は、現代では主に裁判官、検察官、弁護士などのような法曹の関係者が「思う」や「考える」の意味として使用している例が多く見られます。

また、現行法の中にも、主に「~と思料するときには~できる」といった文脈で、「思料」という単語が使われている条文がいくつか存在します(※詳しくは後ほどご紹介します)。

ただし、「思料」が明確に「法律用語」と定められているわけではありません。また、「こういう場合には『思料』と言わなければならない」といった条件やルールも存在していません。

よって、法律の条文を引用しなければならないような場合を除き、もしあなたが法曹関係者であったとしても、「思料する」の代わりに「考える」や「思う」と言ったほうが、意味の伝わりやすさの点で考えると、親切かつ適切といえるかもしれません。

「思料」のもつイメージ

「思料」は、簡単に言えば「思う」や「考える」の意ですが、それらの言葉に比べると、曖昧さを許容せず、「客観的根拠に基づいて推量する」「さまざまな事柄を判断材料とする」といった、重々しいニュアンスを含んでいます。

そのようなニュアンスから「法曹関係者が使う言葉」というイメージを持たれていますが、法曹界の他にも、厳密な客観性が求められる報告書や、公式見解、公式文書、格調高い文書などに「思料」が使われることがあります。

「思う」「考える」「推量する」などの言葉を、重々しいニュアンスを込め、大仰に表現した言葉が「思料」であると考えて差し支えないでしょう。

例文

  • 「以上のような理由により、被告人は犯行当時、心神耗弱の状態にあったものと思料いたします」と弁護人は述べた。
  • 〇〇王朝がなぜ滅亡したのかについてこれまで定説はなかった。しかし新たに発見された歴史書に記述された内容によれば、〇〇年頃にこの地方に蔓延した疫病が滅亡の原因であると思料される。
  • 私は、彼らが罪を犯すのは邪悪だからではなく、教育の機会を奪われたために、善悪について思料することができないからなのではないか、と思うことがあります。
  • 陛下は、この度の事件について、何らかの勅裁(ちょくさい)を下すべきと思料しておられる。

法律の条文に登場する「思料」

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

※いわゆる「独占禁止法」の条文です。

公正取引委員会は、前項に定めるもののほか、この法律の規定に違反する犯罪があると思料するときは、検事総長に告発しなければならない。(第74条第2項)

弁護士法

何人も、弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。(第58条第1項)


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