「やり過ごす」とは?意味や使い方をご紹介

頻繁に見聞きする「やり過ごす」という言葉があります。実は、この言葉は3つの意味をもっているのです。「電車をやり過ごす」などの使い方はすぐに思い浮かびますね。あとの2つについてはどうでしょうか。今回は、「やり過ごす」の3つの意味と使い方を類語も含めご紹介します。

目次

  1. 「やり過ごす」とは?
  2. 「やり過ごす」の使い方
  3. 「やり過ごす」のまとめ

「やり過ごす」とは?

「やり過ごす(遣り過ごす)」は、以下の3つの意味をもつ言葉です。

  1. 後ろから来るものを先に行かせること
  2. ある状況が過ぎるにまかせること
  3. 限度を超えてすること

1と2の意味の「やり過ごす」は、頻繁に用いられていますが、3の意味は現在ではあまり見聞きしなくなりました

「やり過ごす」の使い方

「後ろから来るものを先に行かせる」の意味で

後ろから来たものを先に行かせるという状況は、おおかたは、背後から来る自動車、自転車などの乗り物、人間や動物などを対象として「やり過ごす」が使われます。

あるいは海上、空中などにおいて、船や泳ぐ人、飛ぶ飛行機やヘリコプターなどの後ろから来るものについても「やり過ごす」と使うことができます。

頻繁に見聞きするのは「電車をやり過ごす」ではないでしょうか。この場合、自分の後ろから来たもの、という定義とは異なるように感じますが、なんらかの理由でホームに入ってくる電車には乗らず、先に行かせるという意味で用いられます。

  • 夜道を歩くのが怖い由美さんは、コンビニに入り、うしろから来る男性をやり過ごすことにした。
  • うしろを走る車のドライバーが煽り運転をしかけてきたので、交番の前に停車した。おかげで、無事にやり過ごすことができた。
  • ホームに入ってきた急行電車があまりに混んでいたので、やり過ごして次の普通電車を待つことにした。

「ある状況がすぎるにまかせる」の意味で

二番目の「ある状況が過ぎるにまかせる」は、「なすがままにしておく」とも言い換えることができます。自らの意志において、あえて関わらずにいる場合でも、変化するものにおいて過ぎゆくにまかせるしかないケースでも使える表現です。

「自らの意志で関わらない」とは、例えば何らかのアクシデントがあった場合、へたに手出しをするよりも静観してことが収まるのを待つ、というような態度を指します。

「過ぎゆくにまかせるしかない」については、雨や風などの個人の力で止めることはできないものを対象としている場合がわかりやすい例となるでしょう。

  • 仕事でミスを連発し、上司の怒りをかってしまった。ひたすら謝りつつ、長々続く説教をやり過ごした。
  • 旅先で台風の直撃を受けた父母は、ホテルにこもって台風をやり過ごすしかなかったそうだ。
  • 今年は体調を崩して寒さがこたえたので、ほとんど外に出ずに冬をやり過ごした。
この用法での「やりすごす」の類語には、「静観する」という言葉があります。「静観する」とは、あえて積極的に行動せず、静かにことの成り行きや状況やを見守ることを意味します。「やり過ごす」と異なる点は、「行動せず静かに」という部分です。

「やり過ごす」場合は、なにかほかのことをして状況が過ぎるのを待つ、ということもありますが、「静観」は何もせず観察したり見守ったりするのみです。

【文例】子供の反抗期には、その言動にいちいち反応せず静観するのが一番だという。

「限度を超えてする」の意味で

限度を超える、しすぎる、という意味の「やり過ごす」は、現代日本語ではあまり使われることがありません。

かろうじて、酒やたばこなどにおいて使われることがある程度ですが、それもほとんどは「やり過ぎる」が用いられています。

【文例】佐藤君は、酒とたばこをやり過ごして身体をこわしてしまった。

「やり過ごす」のまとめ

後ろから来たものを先に行かせることも、なにかが過ぎるにまかせることも、「やり過ごす」という言葉には消極的なイメージがあります。

とはいえ、自分を抑えて他を優先させたり、相手や状況のなすがままにさせる、ということは実は忍耐強くなくてはできない場合が多いものです。

自分が動いたほうが有効な場合、手出しをせず静観したほうがよい場合などを見極める判断力を養い、「やり過ごす」達人となりたいものですね。

 


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