「ご愛嬌」とは?意味や使い方をご紹介

「ご愛嬌」は、使うのに少々注意が必要な言葉です。「愛嬌」は、可愛らしく憎めない、などちょっとした誉め言葉になりますが「ご愛嬌」となると、その背景に小さな失敗や難点があることを匂わせます。今回は「ご愛嬌」の意味と使い方を例文とともにご紹介します。

目次

  1. 「ご愛嬌」とは?
  2. 「ご愛嬌」の使い方
  3. 「ご愛嬌」の類語

「ご愛嬌」とは?

「ご愛嬌」(ごあいきょう)と読みます。「愛敬」と書く場合もありますが、現代では「愛嬌」という表記が一般的です。

「ご愛嬌」の「ご」は、丁寧表現の接頭語「御」ですが、「ご愛嬌」という言葉には「愛嬌」の丁寧な表現、に留まらない意味の変化があります。この言葉を使うときには正しい理解と注意深さが必要です。

「ご愛嬌」という言葉には、大きくわけて次の二つの意味があります。

  1. 座に興をそえるもの(座興)、ささやかなサービス。
  2. 見過ごせるくらいの失敗や、憎めない欠点、ちょっとした難点。

「愛嬌」とは?

「ご愛嬌」とたんなる「愛嬌」との区別をはっきりさせるために、「愛嬌」の意味を把握しておきましょう。「愛嬌」の由来は、仏教における、仏や菩薩の穏やかな温顔を意味する「愛敬相(あいぎょうそう)」という言葉です。

字は「愛敬」で、(あいぎょう)と濁音読みでしたが、室町時代には(あいきょう)という清音読みに変わり、文字もやがて「愛嬌」が用いられるようになりました。

「愛嬌」の意味は、大まかに言えば以下の3つです。

  1. 愛らしく、可愛らしく、人好きのする表情や動作、性格。
  2. ひょうきんで、笑を誘うような好ましい表情や動作、性格。愛想
  3. 座興、ささやかなサービス、値引きやおまけ。​​​​​​​

「ご愛嬌」は、2と3の意味によるものです。商売上では値引きやおまけの「ご愛嬌」が、通常の会話では「笑って許されるレベルのささやかな失敗や難点」という意味の「ご愛嬌」がよく登場します。

「ご愛嬌」という表現を1の意味で用いることはほぼありません。1の意味では「愛嬌」という言葉を使うことが圧倒的に多いです。

 

「ご愛嬌」の使い方

「ご愛嬌」には、定型的な言い回しがあります。「ご愛嬌ということで」「ご愛嬌で」「ご愛嬌に」などのかたちで使うことがほとんどです。失敗などの場合は、言外に(ちょっとしたことなので、お許しあれ)という思いが含まれます。

使用するときには、細心の注意が必要です。ささやかなレベルであれ、失敗や欠点が背景にある言い回しですから、自分の失敗や目上の人の行動について使うのには適しません。

自分の失敗を「ご愛嬌ということで」などと言うと、「自分で言うな!」と思われますし、目上の行動に「ご愛嬌ですね」と言えば、失敗や短所の指摘ととられ、不快に思われる可能性があります。

「目上の者や第三者が、部下や他の人を軽くかばう」というかたちで用いられる言葉、というのが無難な解釈でしょう。

「ご愛嬌」の文例

(八百屋A)

奥さん、このリンゴひと箱、買っていってよ!みかん一袋をご愛嬌につけるから!

(陶芸教室主催者B)

こちらの列は初心者の習作ですが、ご愛嬌ということでご覧になっていってください。

(上司C男)

君のレポートは誤字脱字が多いぞ。新入社員だし、社内報告書だからご愛嬌ということにしておくが、今後は気をつけろよ。

(会社員D男)

山田課長の歓迎会もたけなわですが、私がご愛嬌に、瞬間芸をやらせていただきます!

(姑E子)

うちの嫁は、そそっかしいのよ。まあ、ご愛嬌ということで、家族の笑いを呼んで明るくなっていいのだけどね。

「ご愛嬌」の類語

「おまけ」

「おまけ」は、下の2つの意味を持つ言葉です。1の意味が、ささやかなサービスという意味での「ご愛嬌」の類語たりえます。

  1. 主となるものにつけるもの。付録、景品。
  2. 値引き
【文例】今日はうちの化粧水を買って頂ければ、ささやかですがおまけに乳液の試供品を三袋つけますよ。

「凡ミス」

「凡ミス」は、不注意によるミス、軽率でつまらない失敗、という意味の言葉です。後者が、「笑って許せるほどの失敗」という意味における「ご愛嬌」の類語たりえます。

【文例】新入社員の凡ミスと許してもらえるのも、そろそろ限界だぞ。


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