「相まって」とは?意味や使い方をご紹介

「相まって」の意味はおおまかになら分かるけれど、きちんと説明はできない。そんな人が多いのではないでしょうか。「相まって」は、「相俟って」とも書きますが、「俟」という漢字を知らない人の方が多いはずです。今回は「相まって」の使い方や意味を類語を含めてご紹介します。

目次

  1. 「相まって」とは?
  2. 「相まって」の使い方
  3. 「相まって」の誤用例
  4. 「相まって」の類語

「相まって」とは?

「相まって」の本来の表記は「相俟って」です。「俟」は常用漢字表に入っていないため、ほぼ目にすることはありませんが、「相まって」を深く理解するため、「相」「俟」をそれぞれ解説します。

「相」は多くの意味をもつ漢字ですが、「相まって」で使われている「相」は、互いに、共に、という意味です。

「俟って」「俟つ」の連用形。「俟つ」には、人や時、物事などが来ることを願いながらその時がくるまでの時間を過ごす、という「待つ」と同様の意味もあります。しかし、「相俟って」の「俟つ」は、あてにする、頼る、必要とするという意味によるものです。

「相俟って」は、二つ以上のものが互いの力を与え合い、作用しあって(ある結果となる)二つ以上のものが一緒にまざりあって(ある結果となる)、などの意味をもつ言い回しです。

「相まって」の使い方

「相まって」は、二つ以上のものによる作用の結果、という意味であることから、「二つ以上のなにか」を具体的に示すことが使い方の前提となります。

さらに、相まって「どうなったか」という結果を示して、完全な文章となります。その結果は、ポジティブなものが多いものの、ネガティブなものでも使うことができます。

「相まって」の文例

  • 高校総体の短距離走で鈴木君が優勝したのは、彼の才能と努力が相まった結果の栄冠だ。
  • 親の深い愛情と毅然とした導きが相まってこそ、子どもはよき人格を形成しうる。
  • 山道で迷った中村君は、飢えと寒さと不安が相まって、パニックに陥った。
  • 和食の神髄は、だしと食材が相まって醸し出す奥行き深い味わいにある。

「相まって」の誤用例

「俟つ」が一般的に馴染みない漢字であるからか、「相まって」を「相待って」と表記してしまう例がみられます。「待つ」には、頼る、必要とする、という意味はないため、「相まって」の本来の意味と異なってしまいます。

ほかの誤用例として、「相まる」「相まう」と用いるケースがあります。「相まって」は「相まつ」から派生していますから、「相まる」「相まう」と変化することはありえません。

「相まって」の類語

「相乗効果」の意味と使い方

「相乗効果」とは、二つ以上の要因や原因が重なりあい、同時に影響を与え合うことにより、個々に得られる結果以上の成果を表すことを意味する言い回しです。

「相まって」とまったく同じ用法ですが、「相乗」も「効果」も意味がはっきりと伝わりやすいため、ビジネスや公的文書、レポートなどにおいて使われる頻度が高い言葉です。

「相まって」と同様に、使い方においては、「二つ以上のなにか」と、「作用の結果」を具体的に記します。「効果」とあることから、基本的に結果はポジティブなものとなります。

  • A社の新製品の菓子は、味の良さとCMの面白さの相乗効果で、爆発的な売れ行きとなった。
  • 摩周湖は、湖の透明度、霧がたちこめる神秘性、アイヌ伝説の魅力の相乗効果で揺らがぬ人気をもつ。

「重なりあって」の意味と使い方

「重なりあって」は、複数のものが互いに重なって、という意味を表します。シンプルに「重なって」と表現することも可能です。「相まって」「相乗効果」と比べると、子どもでもわかりやすい一般的な表現だといえます。

意味を誤解されることなく明確に伝えたいときには便利な表現ですが、改まった文章、公的文書、ビジネスシーンでの使用は、逆に幼稚な印象をもたれてしまう危険性もあります。

  • 優秀な教師陣と優秀な生徒の努力が重なりあって、A校の大学合格実績は飛躍的に向上した。
  • バランスのよい食事と適度な運動、心の安定が重なり合ってこそ、真の健康がえられる。


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