焦眉の急とは?焦眉の急の意味
状況が非常に差し迫っていて、一刻も猶予ができない緊急事態を指す四字熟語
焦眉の急の説明
「焦眉の急」は「しょうびのきゅう」と読み、文字通り「眉毛が焦げるほど差し迫った危急」という意味を持ちます。中国南宋時代の禅宗の書物『五灯会元』に由来する故事成語で、火が眉まで迫ってくるような切迫した状況を表現しています。現代では、社会問題の解決が急がれる場面や、ビジネス上の重大な危機的状況など、すぐに対処が必要な課題について使われることが多いです。類似の表現として「轍鮒の急」や「火急の用」などがあり、英語では「an urgent need」や「a pressing necessity」といった表現が相当します。
日常会話ではあまり使わないかもしれませんが、知っておくと文章の表現力がぐっと広がる素敵な言葉ですね!
焦眉の急の由来・語源
「焦眉の急」の語源は、中国南宋時代の禅宗の歴史書『五灯会元』に遡ります。この書物の中にある禅問答で、修行僧が「切迫する状況とはどんなものか」と問うた際、指導者が「火が眉を焼くときである」と答えた故事から生まれました。文字通り「眉毛が焦げるほど火が迫っている」という極めて差し迫った危険な状況を表現しており、日本語では鎌倉時代頃から使われるようになったとされています。
故事成語ならではの深みと緊迫感が感じられる、いざという時に使いたい表現ですね!
焦眉の急の豆知識
「焦眉の急」は現代でもビジネスや政治の世界で頻繁に使われる表現ですが、実は「焦眉」だけでも使用可能な点が特徴です。例えば「焦眉の問題」といった使い方ができ、こちらも同様に緊急性の高い課題を指します。また、類似表現として「眉毛に火がつく」「眉に火がつく」といったより口語的な言い回しも存在し、状況に応じて使い分けられる豊かな表現文化を持っています。
焦眉の急のエピソード・逸話
元総理大臣の小泉純一郎氏が、2001年の衆議院本会議で郵政民営化について「まさに焦眉の急である」と述べたことは有名です。また、作家の夏目漱石も作品の中でこの表現を使用しており、『吾輩は猫である』では社会的な問題を「焦眉の急」と表現する場面があります。近年では、パンデミック対策についてある知事が「医療体制の整備が焦眉の急だ」と発言し、注目を集めました。
焦眉の急の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「焦眉の急」は漢語由来の四字熟語であり、中国語の文法構造を反映した表現です。それぞれの漢字が持つ意味:「焦」(焦げる)、「眉」(眉毛)、「急」(差し迫った)が組み合わさることで、比喩的な表現を形成しています。このような身体部分を用いた危険や緊急の表現は、日本語に多数存在し(例:「喉から手が出る」)、人間の身体的経験に基づいた概念化の好例と言えます。また、故事成語としての格式高い響きから、改まった場面で使用される傾向があります。
焦眉の急の例文
- 1 明日が締切の仕事がまだ終わっていないのに、急に別の緊急案件が入ってきて、まさに焦眉の急だと思わずため息が出た
- 2 子どもが熱を出して病院に連れて行こうとしたら、車のバッテリーが上がっていて、これが焦眉の急とはこのことかと慌てふためいた
- 3 大事なプレゼンの前日にパソコンが故障し、資料のデータが開けなくなって、焦眉の急の状況に冷や汗が止まらなかった
- 4 月末の家計がピンチなのに、冷蔵庫が突然壊れてしまい、食材の確保と修理費用の工面が焦眉の急の問題になった
- 5 取引先との重要な打ち合わせに向かう途中で電車が止まり、遅刻しそうになって、まさに焦眉の急だとスマホで連絡する手が震えた
「焦眉の急」の適切な使い分けと注意点
「焦眉の急」は非常に格式高い表現であるため、使用する場面には注意が必要です。日常会話で使うと大げさに聞こえることが多いので、主にビジネス文書や公式の場での発言、新聞記事などで使用されることが適切です。
- ビジネス報告書での使用:〇「経営危機への対応が焦眉の急である」
- 友人との日常会話:✕「テスト勉強が焦眉の急だ」→「テスト勉強が超やばい」が自然
- 新聞見出し:〇「環境対策が焦眉の急に」
- カジュアルなメール:△ 状況によるが、基本的にくだけた表現が好まれる
また、この表現を使う場合は、本当に差し迫った重大な状況であることが前提です。些細な問題に使うと大袈裟に受け取られる可能性があるので注意しましょう。
関連用語と表現のバリエーション
「焦眉の急」にはいくつかの関連表現や類語が存在します。状況に応じて使い分けることで、より豊かな表現が可能になります。
| 表現 | 読み方 | 意味合い | 使用頻度 |
|---|---|---|---|
| 焦眉の急 | しょうびのきゅう | 最も緊急性が高い | 高 |
| 轍鮒の急 | てっぷのきゅう | 差し迫った危険 | 中 |
| 火急の用 | かきゅうのよう | 急ぎの用事 | 高 |
| 危急存亡 | ききゅうそんぼう | 存亡に関わる危機 | 中 |
| 刻一刻 | こくいっこく | 時間が迫っている | 高 |
また、「焦眉」単体で使うことも可能で、「焦眉の問題」「焦眉の課題」などの表現もビジネスシーンで見かけられます。
歴史的な背景と文化的意義
「焦眉の急」は中国南宋時代の禅宗書『五灯会元』に由来する故事成語です。禅問答の中で、修行僧が「切迫する状況とは何か」と問うた際、師匠が「火が眉を焼くときである」と答えたことが起源となっています。
切迫する状況とは、火が眉を焼くときである
— 五灯会元
この表現が日本に伝来したのは鎌倉時代頃とされ、武士や知識層の間で使用されていました。江戸時代には学問が発達し、より広く一般にも知られるようになりました。現代では、政治や経済の緊急課題を表現する際に頻繁に使用され、日本語の故事成語として確固たる地位を築いています。
身体的危機を比喩的に表現するこの言葉は、人間の根源的な恐怖を言語化したものとして、文化的にも重要な意味を持っています。
よくある質問(FAQ)
「焦眉の急」の正しい読み方は何ですか?
「しょうびのきゅう」と読みます。「焦」は「焦げる」、「眉」は「眉毛」、「急」は「差し迫った」という意味で、それぞれの漢字の読み方を組み合わせた読み方になります。
「焦眉の急」は日常会話で使っても大丈夫ですか?
格式ばった表現なので、日常会話ではあまり使われません。主にビジネスシーンや公式の場面、文章語として使用されることが多いです。友人同士の会話では「超急ぎ!」「マジでやばい!」などのくだけた表現が自然です。
「焦眉の急」と「火急の用」はどう違いますか?
どちらも緊急性を表す表現ですが、「焦眉の急」はより深刻で差し迫った危機的状況を指します。一方、「火急の用」は単に急ぎの用事という意味合いが強く、深刻度では「焦眉の急」の方が上回ります。
「焦眉」だけでも使えるのでしょうか?
はい、「焦眉」単体でも使用可能です。「焦眉の問題」「焦眉の課題」などの形で、差し迫った重要問題を表現できます。ただし、通常は「焦眉の急」として使われることが多いです。
英語で「焦眉の急」を表現するにはどう言えばいいですか?
「an urgent need」「a pressing necessity」「an imminent danger」などが相当する表現です。状況に応じて「This is a matter of extreme urgency」(これは極めて差し迫った問題だ)などの言い回しも使えます。