「稀に見る」とは?意味や使い方をご紹介

「稀に見る」は、(まれにみる)と読みます。「稀」(まれ)という言葉を理解することによって、この慣用句の意味をはっきりと認識できることでしょう。今回は、「稀に見る」の意味や使い方を、類語や「見る」の解釈のしかたなども交えてご紹介します。

目次

  1. 「稀に見る」とは?
  2. 「稀に見る」の使い方
  3. 「稀に見る」の類語

「稀に見る」とは?

「稀に見る」(まれにみる)という慣用句の意味を知るために、まずは「稀」(まれ)の字義を解説します。

「稀」という漢字は、音読みが(き、け)、訓読みが(まれうすい)。意味は次の二つです。①まれ、珍しい、めったにない、ごく少ない②まばら、濃度が薄い。

いずれにしても、基本的には「きわめて少ない」ことを表す字ですが、「稀に見る」の「稀」は①の意味によるものです。

「稀に」は、形容動詞「稀だ」の連用形で、「稀に見る」は、めったに見ることがない、数少なくきわめて珍しい、などの意味をもちます。

「稀に見る」の使い方

「稀に見る」の意味は、すんなりと理解しづらい点があります。そのひとつは、「稀に」と「見る」の意味をそのまま解釈すると、「きわめて珍しい、数少ないものを見る」という持って回った表現になることです。

まだるっこしくわかりづらいですね。「きわめて珍しい」「めったに見ることはない」→「きわめて珍しい」という2つのプロセスを経て、ようやくわかりやすい意味となります。

もう一点、話をややこしくしているのが、「見る」という言葉の意味です。「見る」は多義的な言葉ですが、ここでは物理的に眼で「見る」意味と、状況や状態を「認識する」という意味の「見る」の双方が混在しています。

たとえば、「稀に見る大粒のダイヤモンド」のダイヤモンドは実際に眼で見ることができる物質ですが、「稀に見る才能」「稀に見る大成功」の「才能」、「大成功」は物理的に「見る」ことはできません。

このように、「稀に見る」という慣用句は、数ある慣用句のなかでも「稀に見る」複雑さを含む言葉のひとつです。

「稀に見る」の定型的言い回し

「稀に見る」には、わけても珍しいケースに用いる定型的な言い回しが二つあります。どちらも「稀に見る」の前につけて、その珍しさを度合いを強調します。

一つ目は、「近年(きんねん)稀に見る」です。「近年」は、最近の数年間、という意味ですから、「近年稀に見る」は、「ここ数年目にすることもなかったほどに珍しい」という意味になります。

二つ目は「史上稀に見る」。こちらは、近年どころか「史上」ですから、「ほぼ例がないほどに珍しい」などの意味をもちます。珍しさ、希少さのレベルがもっとも高い表現です。

「稀に見る」の文例

  • 公園で、稀に見る立派なプードルを見かけたが、飼い主からコンテスト日本一に輝いた犬と聞き、納得した。
  • 由美さんは、小学生時代からピアニストとして稀に見る才能を発揮し、いまは世界的に活躍している。
  • 駅前に大型のショッピングモールが4月にオープンし、この街は近年稀に見る賑わいが続いている。
  • 地球温暖化のためか、世界中で史上まれに見る豪雨や大型台風による被害が相次いでいる。

「稀に見る」の類語

「稀有」の意味と使い方

「稀有」(けう)は、複数の意味をもちますが、「稀に見る」の類語としては、きわめて珍しいこと、めったにないこと、の意味があたります。

「稀」」(まれ)な状態が「有」る、すなわち「とても珍しい」、ということですから、反語的な用い方も「稀に見る」と似ていますね。

【文例】渡辺君は、5か国語を自在にあやつる実に稀有な人材だ。

「類い稀」の意味と使い方

「類い稀」(たぐいまれ)は、めったにない珍しいさま。「類い稀」のかたちでも使いますが、ほとんどの場合、「類い稀な~」という用法で使い、~のレベルが珍しいほどに高い、低い、という意味において、その程度を表します。

【文例①】何年も人の手で飼育された動物が野生に帰るというのは類い稀な例だ。
【文例②】友人の双子の姉妹は、同じく双子の兄弟と合同結婚式をあげるという、類い稀なゴールインをした。

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