「すっとぼけ」の意味
「すっとぼけ」は「すっとぼける」という動詞を元に持つ言葉です。この「すっとぼける」は、漢字で書くと「素っ惚ける」となります。
「すっとぼける」の意味は「相手を呆れさせるほど、とぼける」です。では、そもそも「とぼける」とはどういう意味なのでしょうか。
「とぼける」という言葉は「自分に不都合な話題をそらすため、知らないふりをしたり、はぐらかしたるすること」を意味します。たとえば刑事ドラマなどで「犯人はお前だ！」と名指しされた真犯人が、「何のことかなぁ？」とそ知らぬふりをすること、これが「とぼける」です。
全く身に覚えがないことに対して「そんなの知らない」というのは「とぼける」ではありません。身に覚えがあるのに知らないふりをすることが「とぼける」です。
それがあまりにも白々しかったり、あまりにも往生際が悪かったりと、相手が呆れてしまうほどとぼけることを「すっとぼける」と言います。「とぼける」がより白々しくなる、というニュアンスです。
「すっとぼけ」の使い方
以上が、「すっとぼける」の辞書的な意味です。しかし、SNS上で使われる「すっとぼけ」はまた少し異なったニュアンスを持ちます。
SNS上での「すっとぼけ」は、本当は良く知っていることを、全く知らないかのようにネタとして話し、そのことに自分でツッコミを入れる際に使います。ある種の「自作自演」ですね。
たとえば、ある野球チームのファンが、好きな選手がホームランを打った、というニュースをSNSに投稿するという状況を想定しましょう。
その際に、この投稿者がネタとして、「こういう選手、うちのチームに来ないかなぁ」と、あたかもその選手を全く知らないかのように投稿するのです。
そして、最後に「（すっとぼけ）」とつけることで、自分で自分のツッコミを入れ、「本気でこの選手のことを知らないのではなく、よく知ってるうえで、あえてネタとして知らないふりをしています」ということをアピールできます。
「本当は良く知っていることを、まるで全く知らないかのように、白々しくとぼけるネタ」が「すっとぼけ」です。
「すっとぼけ」の例文
- 来月新しく登場する仮面ライダーは、あの敵幹部と名前も口癖も全く同じだが、その正体は謎だ！（すっとぼけ）
- 江戸幕府を作ったのはリンカーンだろ？（すっとぼけ）
- そういや部長、急に転勤したけど何かあったのかねぇ。え、不倫がばれた？ そうなんだ、初めて聞いたよ（すっとぼけ）
- 2月14日ってただの平日だろ（すっとぼけ）
- なんかうちの学校の名前検索すると、予測変換で「不良」って出てくるけど、うちの学校、そんなにガラ悪いのかな（すっとぼけ）
「すっとぼけ」の顔文字
「すっとぼけ」は文字で「（すっとぼけ）」と入力するほかに、顔文字で代用することもできます。すっとぼけの顔文字には「( ￣３￣)～♪」や「( ﾟ 3ﾟ)～♪」があります。
漫画などでは白々しい嘘をつくときに、口笛を吹いてごまかすという表現がよく使われますね。その様子を顔文字にすることで、すっとぼける様を描いているのです。
「すっとぼけ」の由来
辞書を引くと「すっとぼけ」は「東京方言」と書かれています。方言というと地方特有のものというイメージがありますが、東京にも方言はあるのです。「東京方言」は特に、東京23区周辺で使われる方言です。
また、SNSなどで使われる「（すっとぼけ）」の元ネタは、ホモビデオ「淫夢」シリーズだという説があります。「淫夢」シリーズは、「あ…（察し）」「オナシャス」「小並感」など、様々なネットスラングの元ネタとして知られている作品群です。
まとめ
「（すっとぼけ）」の一言を最後につけることで、「ほんとは良く知ってるけどあえて知らないふりをしている」ことを相手に伝えることができます。
SNSでは全く知らない人を相手にするコミュニケーションツールです。ネタを投稿する際には、それがネタであることを伝えて笑いを取る必要があります。このようなネタ要素を高める、お約束の表現は不可欠なのです。
それにしても、今回の記事はなかなかためになる内容ですが、一体だれが書いたんでしょうか（すっとぼけ）。