「あまねく(遍く・普く)」とは?意味や使い方をご紹介

「あまねく」という言葉は、会話にはほぼ登場しませんが、文章では目にする機会もあるでしょう。古語の「あまねし」から派生した言葉ですので、やや響きが古風だと感じるかもしれませんね。今回は「あまねく」の意味と使い方を類語を含めご紹介します。

目次

  1. 「あまねく」とは?
  2. 「あまねく」の使い方
  3. 「あまねく」の類語

「あまねく」とは?

「あまねく」(遍く、普く)は、すみずみまで全体にわたって広くもれなく、という意味の副詞です。会話ではほとんど登場することがないため、若い世代の人には馴染みのない言葉かもしれません。

文章においては目にする機会も多く、とりわけ小説などでは高い頻度で登場しますが、ビジネス文書などに用いることはあまり適切といえません。

その背景として、「あまねく」が古語から今に伝わる文語表現であることが挙げられます。用いても誤りではありませんが、ビジネスなどでは、現代でよく使われるわかりやすい言葉を選ぶほうが無難でしょう。類語については、後ほど紹介します。

「あまねく」の漢字

「あまねく」は、現代ではひらがなで表記されることが多いですが、二つの漢字に書き表すこともできます。ポイントは、どちらの漢字も共通した字義をもつことです。

「普く」:「普」の音読みは()、訓読みは(あまねく)。あまねく、なにもかも、広くという意味です。

「遍く」:「遍」の音読みは(へん)、訓読みは(あまねく)。「普」と同じく、あまねく、なにもかも、広く、などの意味があります。

上記二つの漢字を組み合わせた「普遍」(ふへん)という言葉をご存じでしょうか。例外なく、ありとあらゆるものにあてはまることを意味します。「普遍的な」という使い方もしばしば見られます。

哲学の分野においては、「世界、宇宙万象に関していえること」などの意味があります。「普遍の真理」や「普遍論争」など、哲学とはゆかりの深い言葉ともいえるでしょう。

「あまねく」の使い方

「あまねく」は、広くもれなく行きわたるさまを表しますが、その範囲は、哲学のように宇宙全体を指すとは限りません。もちろん「宇宙にあまねく~」や「世界にあまねく~」と表現することはできますが、限定された小さな領域にも用いることができます

たとえば、「日本にあまねく~」「野原にあまねく~」などは、日本においてのすべての範囲、野原の中のありとあらゆる場所に、と解釈するとよいでしょう。

現代では、「あまねく世界に~」のように「あまねく」を名詞の前におき、その名詞を形容する用法が見られます。副詞はあくまで動詞を形容するものであり、名詞にかける用法は誤りとする考えもあれば、修辞としては間違っていないとする見方も存在します。

「あまねく」の文例

  • 日本製の商品、製品が優れていることは、世界にあまねく知れ渡っている。
  • 野原にあまねく花が咲き乱れる風景は、日本の春の風物詩だ。
  • 地球温暖化を防ぐ諸対策を、あまねく世界の人々に啓蒙していかねばならない。
  • 集中豪雨による川の氾濫で、A町はあまねく水没してしまった。

「あまねく」の類語

「悉く」の意味と使い方

「悉く」(ことごとく)は、対象となるものすべて、ひとつ残らず、全部、などの意味をもつ言葉です。「あまねく」にくらべ、ひとつひとつのすべて、というニュアンスがあります。

【文例】

  • 反抗期の子どもは、親の言葉にことごとく反発するものだ。
  • 鈴木さん宅の台所から出た火は、あっという間に鈴木さん宅と隣家のことごとくを焼き尽くした。

「万遍なく(満遍なく)」の意味と使い方

「万遍なく(満遍なく)」(まんべんなく)は、くまなく、もれなく、生き届かないところなく、あまねく行き渡っている、すべてに、などを意味する言葉です。

「あまねく」と異なる点は、すべてに「行き届く」「行き渡る」という部分に重きが置かれているところです。したがって、徹底的になにかをする態度や、注意を払ってなにかをする状況を言外に伝えています。

【文例】

  • 田中先生は、クラスの子どもたちに万遍なく声をかけることをポリシーとしている。
  • 英単語テストで学年一位を目指す真由美さんは、出題範囲の単語を万遍なく暗記した。


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