「見得を切る」とは?意味や使い方を「見栄を張る」との違いを含めてご紹介

みなさんにとって「見得」は切るものですか?それとも張るものですか?「見得を切る」も「見栄を張る」も普段からよく耳にしますよね。ここでは「見得を切る」を紹介します。意味や使い方、さらには「見栄を張る」との使い分けについても説明します。

目次

  1. 「見得を切る」の意味と使い方
  2. 「見得を切る」と「見栄を張る」
  3. 「見得を切る」の類語

「見得を切る」の意味と使い方

「見得を切る」には二つの意味があります。一つは人の言葉や振る舞いを表す慣用句、もう一つは歌舞伎における動作です。それぞれ分けて説明していきます。

大げさな言葉で気をひく

「見得を切る」とは大げさな発言や態度で自分の力を誇示する、良いところを見せようと無理をすることです。日常的に使われるのはこちらの意味です。

積極的にアピールしているというよりは、むしろ虚勢を張っているというニュアンスです。実力もないのに格好をつけている、良いところを見せようと無理をする様子です。

【例文】

  • 既に大炎上しているにもかかわらず、「納期には間に合います」と大見得を切った。
  • すでに動くのもやっとだが、このくらいわけもないと見得を切る。
  • よくもまああんな大見得を切れるもんだ。

歌舞伎の表現技法

「見得を切る」は元々歌舞伎のとある動作を指していました。役者が観客の方を向き、動きを止めてにらみつけるポーズをとる様子を見たことがありませんか?浮世絵にも多いですね。あの姿が「見得を切る」動作です。

元々は不動明王に由来するというだけあって迫力満点ですね。現代では歌舞伎役者に限らずこういった迫力のあるポーズを取ることや仁王立ちでにらみつけることを比喩的に「見得を切る」と呼ぶこともあります。

【例文】

  • 舞台の上で見得を切る姿はもう一人前の役者だ。
  • ふと目をやると、見得を切っているところだった。
  • 歌舞伎のように見得を切る姿が目に浮かんだ。

「見得を切る」と「見栄を張る」

「見得」と「見栄」

「見得を切る」と「見栄を張る」。同じ「みえ」でも実は使う漢字が違うのです。字が違えばもちろん意味も変わるはず。それぞれどのような意味があるのでしょうか?

まず、歌舞伎の「見得」はただの当て字とのこと。読み方を変えた「けんとく」は悟りを得るという意味の仏教用語ですが、特には関係ないようです。

一方「見栄」は「見栄え」が由来のようです。「見栄え」とは外見が良いこと、目立つことです。人から良く見られようとする、目立とうとすることが「見栄を張る」ですので、ぴったりですね。

「切る」と「張る」

「切る」には際立った動作や思い切ったふるまいをするという意味があります。歌舞伎の見得はまさにそうです。特徴的な、際立った動作で人目を集めていますね。

「張る」は外見を良く見せることや、大きく見せるという意味です。見栄に限らず、胸を張る、向こうを張るなど自信に満ち溢れた様子を表します。

「見得を切る」と「見栄を張る」の違い

「見得を切る」は歌舞伎でそうだったように、自分に注目を集めるという見ている人を意識した言葉です。目的は注目させることや格好をつけること。

「見栄を張る」は人々によく思われたいという気持ちの強い行動です。人目や世間体を気にする人の行き過ぎた姿のようなものです。

例えばブランドにこだわることは、「見栄を張る」とは言えますが「見得を切る」とは言いません。実現困難な内容を公約するのは「見得を切る」であり、「見栄を張る」ではありません。

足りない実力を背伸びして自信があるように見せるのが「見得を切る」で、自分の弱さや醜さを隠して外聞を取りつくろうのが「見栄を張る」と言えますね。

「見得を切る」の類語

「見得を切る」の類語には以下のようなものがあります。

  • 外連味(けれんみ):はったりやごまかし。
  • ブラフ:相手を騙すための嘘。
  • 気取り:もったいぶったり、それらしくふるまったりすること。
  • こけおどし;中身のない脅し。

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