「戦々恐々」とは?意味や使い方をご紹介

「戦々恐々」は有名な四字熟語なので、見たことも聞いたこともないという人は少ないでしょう。ところが、この言葉の由来や本来の意味などはあまり知られていません。今回は、この「戦々恐々」の正しい意味や由来、使い方などを紹介します。

目次

  1. 「戦々恐々」とは
  2. 「戦々恐々」の使い方
  3. 「戦々恐々」の由来

「戦々恐々」とは

「戦々恐々」は「せんせんきょうきょう」と読みます。現代では「戦々恐々」と書きますが、本来は「戦々兢々」と書きました。「兢」の字が常用漢字ではないので、「恐」で代用しています。

「戦々恐々」とは恐れおののくことです。怖いことや恐れていることが起きるのではないかとびくびくしている様子を表します。ちょっとしたことにも敏感になり、おっかなびっくりな状態ですね。

「戦々恐々」の使い方

臆病な性格

「戦々恐々」はあ、臆病で怖がりな性格や気質を表す言葉として使われます。周りの目を気にしてビクビクしている、いわゆる「チキン」な性格のことです。

【例文】

  • 彼は非常に怖がりな小心者で、いつも戦々恐々としている。
  • 繊細な性格の人は戦々恐々と震えているよ。
  • 一人では何もできない戦々恐々たる性格だ。

状態や状況

「戦々恐々」は震えあがっておののいている状態や怖くて手を出せないような状況にも使われます。

例えば、警察官の前を通り過ぎるときの指名手配犯や、生活指導の先生に呼び出された生徒の心境です。たとえ豪胆な性格であったとしても、厄介なことになりそうだと怖くなっても仕方ないでしょう。

あるいは、修羅場や口喧嘩を目の当たりにした場合もそうです。自分自身に落ち度がなくとも、うかつに手を出せない、手をこまねいて見守るしかできないようなシチュエーションを表すのにも「戦々恐々」という言葉が使われます。

【例文】

  • 刑務所から凶悪犯が脱獄してくるのではないかと、誰もが戦々恐々としています。
  • 次は自分の番ではないかと戦々恐々とした思いで待っていた。
  • 戦々恐々となる先輩をよそに、彼は平気な顔でタバコなど吸っている。
  • 彼の、人を戦々恐々とさせる威圧感を前にして、子供たちはみな泣き出してしまった。

生活や暮らしぶり

「戦々恐々」には、生活や暮らしぶりが慎ましく控えめであるという意味もあります。外敵から襲われないように、目を付けられないようにと派手な振る舞いを控えているというわけです。肉食動物を警戒する草食動物のようですね。

現代ではあまり使われませんが、元々は謙虚に控えるという意味の方が先にありました。「恐」の字はあくまで後付け、必ずしも恐怖だけを表すものではありません。

【例文】

  • 労咳で働けない弟の世話をしながら、戦々恐々と暮らしてきました。
  • 細々とした、戦々恐々たる生活が続いている。
  • 戦々恐々とした日々を送る。

「戦々恐々」の由来

「戦々恐々」は漢文に由来する四字熟語です。中国最古の詩集『詩経(しきょう)』には次のように書かれています。
 

敢えて暴虎せず 敢えて馮河せず
人その一を知って その他を知るなし
戦々恐々として 深淵に臨むがごとく 薄氷を踏むがごとし
『詩経』小雅「小旻(しょうびん)」より

素手で虎と戦ったり、黄河を歩いて渡るような無茶無謀なことはしてはいけない。闇の中を進むように、あるいは薄い氷の上を歩くように慎重で注意深い方法を取りなさいという意味です。

この言葉が出てくるのは悪い政治家にどのように立ち向かうべきかを説くシーンです。権謀術数に長けた邪な役人が相手なのだから用心に用心を重ねなさいと戒める言葉です。

現代のように「過剰に怖がっている」という意味ではなく、むしろ「警戒して慎重になりなさい」と恐怖をポジティブにとらえているところがなんとも印象的ですね。

暴虎馮河

引用部分の一行目に出てくる「敢えて暴虎せず、敢えて馮河せず」の部分に注目してください。これは『論語』由来の四字熟語「暴虎馮河(ぼうこひょうが)」を指しています。

「暴虎馮河」とはここで取り上げられているように向こう見ずで無鉄砲な行動です。あまり知られていない言葉ですが、慎重で物事を恐れる「戦々恐々」の対義語として使われることもあります。

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