「緩慢」とは?意味や使い方をご紹介

「緩慢」(かんまん)とは、動きがゆっくりと遅く、のろいさまを意味する言葉です。また物事への対処があまく手ぬるいことも指します。いずれにしても、否定的な色が濃い表現なので、注意深く用いたいものです。今回は「緩慢」の意味や使い方を、類語をふくめてご紹介します。

目次

  1. 「緩慢」とは?
  2. 「緩慢」の使い方
  3. 「緩慢」の類語
  4. まとめ

「緩慢」とは?

「緩慢」(かんまん)という言葉は、大きくわけて下の二つの意味を持ちます。
 

  1. 動きがゆっくりとしていて、のろいこと。反応が鈍く、遅いことやそのさま。
  2. 物事への対処や処理が手ぬるいこと。

「緩慢」の字義

「緩慢」の意味をより深く理解するために、「緩」と「慢」の二つの漢字をそれぞれに検証してみましょう。

「緩」は、音読みが(かん)、訓読みが(ゆる・い、ゆる・やか、ゆる・む、ゆる・める)。意味は、訓読みの内容そのままで、緩やか、緩い。つまりはのんびりゆっくりという状態(例:急)を指します。

「慢」は、音読みが(まん)、訓読みが(ばん)。意味は、怠る、怠ける(例:怠奢る、侮る(例:高)、緩やか、長引く、遅い。(例:性)

「緩」「慢」ともに緩やかという意味の漢字です。「緩慢」はその二つが合わさって、動作がゆっくりとしている/のろいことを表し、物事への対処においては「慢」がもつ怠るという意味によって、処理が手ぬるくいい加減という状態を指します。

「緩慢」の使い方

動作のスピードを表現する「緩慢」、の主語になるのは、多くの場合人間、生き物全般です。人間の場合は、個人が主語となって、「誰それは動きが緩慢だ」のように使います。

生物の場合は、「ナマケモノは動きが緩慢な動物だ」のように、種全体を主語としてその特徴を表現します。

チーターのように、俊敏さを誇る動物であっても、個体として(そのチーターは、足に深い傷をおって動きが緩慢になった)などのように用いることができます。

物事への対処の評価としての「緩慢」は、人間の行為を表す言葉ですが、個人が主体となって使われることはまずありません。「政府」や「会社」などの組織が主語となることが多い言葉です。

「緩慢」の文例

(A男)

動物園で「ナマケモノ」を見てきたよ。さすが名前のとおりに動作が緩慢で、ほとんど動かないんだ。俺もああやって寝てすごしたいなあ!

(B子)

祖母の散歩の付き添いをすると、祖母は歩くペースが緩慢だから、こちらも道端の花とか普段気づかないものを見つけたりして癒されるわ。

(C子)

うちの猫は、若いころはタンスの上を飛び歩いたりしたものだけれど、年老いてすっかり動作が緩慢になったわ。

(D男)

君のレポートにはデータがあまりに不足しすぎている。緩慢な仕事ぶりだと言わざるを得ないな。

(E子)

子供への虐待をめぐる悲惨な事件は、児童相談所の緩慢な対応がなければ多くが防げたと思うの。

「緩慢」の類語

微速:きわめてゆっくりとした速度のこと。
【文例】ゆるキャラが集う運動会というイベントを企画しているのだけれど、微速ぶりを競う徒競走というのはゆるキャラっぽくていいんじゃないかなあ?

粗略:物事への対処や扱い方が粗く、いいかげんなこと。「緩慢」の物事への対処における意味に対応した類語となります。
【文例】山本さんの仕事ぶりは粗略すぎる。経理部への人事異動はありえないと思いますよ。

まとめ

「緩慢」は、動作がおそい、対処が手ぬるい、など、基本的にネガティブな意味をもつ言葉だということをご理解いただけたかと思います。

スローライフという言葉は、ゆったりのんびりした生活を称賛する意味をもっていますが、「緩」という文字の「ゆったり」というイメージと混同しないように注意が必要です。

「あなたの緩慢さ、いいですね」などと言ってしまうと、思わぬトラブルの元になりかねません。


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