「申し子」とは?意味や使い方をご紹介

「申し子」という言葉があります。多くの方は、おそらく見たことも使ったこともあるでしょう。ところが、この言葉の正しい意味は意外と知られていないようです。これまでも二転三転してきた「申し子」の意味や使い方、由来をお届けします。

目次

  1. 「申し子」の意味
  2. 「申し子」の慣用的な意味
  3. 「申し子」の使い方
  4. 「申し子」の由来

「申し子」の意味

「申し子」の辞書的な意味は3つあります。それぞれ詳しく見てみましょう。

神仏から授かった子

「申し子」の1つ目の意味は神仏から授かった子供です。子宝祈願のお守りや行事があるように、子供のいない夫婦が神様に願い事をするのは良くあることです。その後生まれてきた子供は神様から授かった子供だと信じられていました。

昔話や民話の冒頭ではよくある設定です。たとえば『一寸法師』がそうですね。子供のできない老夫婦が神様に「親指ほどの小さな子供でもいいから授けてください」とお願いした結果生まれてきたのが一寸ほどの小さな男の子、一寸法師でした。

霊的なものから生まれた子

「申し子」はまた、霊的なものから生まれてきた子供という意味でも使われます。両親はともに人間だけれど不思議な力が働いて生まれてきた子供、あるいは天狗や鬼など人知を超えた存在を親に持つ子供という解釈もあるようです。

どちらにせよ、こうして生まれてきた子供は神がかった力を持っていることがほとんどです。そのため、普通の人間にはない優れた能力の持ち主でもあります。

時代を反映した子や世代

そして、3つ目の「申し子」の意味が時代を反映した子供たちやそうした世代です。性格や個性というのは遺伝によるところもありますが、経験や環境によるところも少なくないもの。生まれ育った時代や世情を反映したような、その時代らしい子供を「申し子」と呼ぶことがあります。

高度情報化社会の現代ならIT機器を自在に扱い、SNSを使いこなす世代がこの時代の「申し子」と呼べるでしょう。戦国時代なら戦う力や生き残る術に長けた人たちがそう呼ばれたでしょう。比喩として、その時代だからこそ生まれた思想や技術、道具などを指すこともあります。

時代が求めているニーズを満たすように、まるで神様が時代の求めに応えて授けたかのようにも見えるからこそ、「申し子」と呼ばれるようになったのかもしれませんね。

「申し子」の慣用的な意味

辞書に記載されている「申し子」の意味はこれまでに取り上げた3つだけです。ここまで読んでくださった方は、「あれ、今まで自分が思っていた意味となんか違うぞ。」と感じているかもしれません。

「申し子」は現代では別の意味で多く使われているからです。それが、まさにそのことをするために生まれてきたような天才的な人という意味です。

テニスをするために生まれてきたような人は「テニスの申し子」、将棋の天才なら「将棋の申し子」です。水を得た魚ともいえるほど非常に得意、ということですね。

ずば抜けた才能を「霊的な力」、テニスが隆盛している時代を「反映している」と捉えると正しそうな気もしてきますね。

しかし、優れた才能は良いものですが『一寸法師』のように人間の理解を超えているわけではありません。テニスも国民の必須技能というほど浸透しているわけではありません。現時点ではまた慣用的な意味に留まるといえるでしょう。

「申し子」の使い方

  • 彼の両親はパワースポットめぐりが好きで、あちこちの神社仏閣で子宝祈願をしていたそうだ。待望の第一子は生まれた時から頭が長く、両親は福禄寿の申し子ではないかと考えたらしい。名前に「福」が入っているのもそのためだそうだ。
  • 体格が良く、腕っぷしも強い。目つきは鋭くやや血走っている。血気盛んでありながら狡猾な気質と相まって幼少時代は鬼の申し子、悪魔の子と近所の子に恐れられていたそうだ。
  • この頃にはすでに、後に時代の申し子とも呼ばれる思想の萌芽が確認できる。
  • 剣道ではたいへん腕が立ち、師範代どころか師範にすら勝利している。そのため、近所では剣道の申し子とまで称えられた。

「申し子」の由来

「申し子」の由来はそのまま神様にお願いした子供です。「申す」は今でこそお話しするという意味の敬語ですが、ここでの意味は違います。神様にお願いごとをするという意味です。帝や貴族への敬意を表す表現ですから、もちろん神様が相手でも敬意を表せるというわけですね。


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