「得体」とは?意味や使い方をご紹介

「得体」という言葉をご存じでしょうか。この熟語が単独で使われることはあまりないかもしれません。よく目にするのは「得体が知れない」という使い方ですね。ここでは、「得体」という言葉について解説します。語源や類語の例と使い方についても紹介します。

目次

  1. 「得体」の意味・使い方
  2. 「得体」の語源
  3. 「得体」の類語

「得体」の意味・使い方

得体」(読み:えたい)とは、物事の本当の性質や真実の姿、その人の本当の考えや本音という意味です。

【使用例】

  • 引っ越ししてきたばかりのAさんはとても感じの良い方だけれども、何となく得体が知れない所がある。
  • 本当に得体の知れない動物で、新種なのか既知の動物の雑種なのかすら分からない。
  • Bさんはあまり自分のことを話さないので、得体が分からないね。

「得体が知れない」とは?

上の使用例にも挙げましたが、得体という言葉は、多くの場合、「得体が知れない」・「得体の知れない」という形で用いられます

「得体が知れない」とは、対象になった物や人の本当の姿が分からない、正体を知ることができないという意味で、良いイメージを与える表現ではありません。

「得体」の語源

実は「得体」という言葉は当て字だと考えられています。その語源については、2つの説があります。

「ていたらく」が語源

ていたらく(体たらく)」は、漢字では「為体」と書き記します。「為体」を「いたい」と読み、時代が下るとともに変化して「えたい」となり、「得体」という字で書かれるようになったと言われています。

「ていたらく」のもともとの意味は「そのような姿であるということ」で、転じて「有様」や「様子」を表すようになりました。どちらかというと、人から好まれない状態を嘲って使われることが多く、「~のようなぶざまな状態である」・「~のようなザマだ」という意味合いの言葉です。

「お坊さんの法衣」が語源

「僧侶の法衣」のことを表す衣体」(読み:えたい)から、「得体」に変化していったという説もあります。

語源となった衣体について説明します。平安時代のお坊さんが着用していた衣体には厳格な決まりがありました。そのため、どの宗派に属しているか、どのような地位にあるのかは、法衣を見れば一目瞭然。まさに、「衣体」=「その人の正体」だったのです。

「得体」の類語

「得体」には次のような類語を挙げられます。ただし、「素性」は家柄や経歴を表しますので、一般的に、人以外に対しては用いられません。一方、「正体」や「本性」は、「得体」とほぼ同じように使うことができます。

【類語・例文】

  • 正体…対象の物や人の本当の姿や真の身分。「怪人二十面相は正体不明って本当?」
  • 素性…相手の家柄、生まれ育った経歴のこと。「彼は確かな素性の人物です。」
  • 本性…人が生まれながらにして持つ性格。「彼女の邪悪な本性が見えたぞ。」

「得体の知れない人」を「正体[素性・本性]の知れない人」と言い換えることはできます。しかし、逆に、「正体を知っている」「素性の確かな人」「本性が現れる」などを、「得体」で言い換えることはできません。


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