「喫緊」とは?意味や使い方をご紹介

日常会話ではあまり使いませんが、ビジネス会話では「喫緊の課題は人材の確保です。」といったような言葉を使うことがあります。「喫緊(きっきん)」は、至急・急ぎ、という意味です。今回はこの「喫緊」の意味や使い方を、類語を含めて解説します。

目次

  1. 「喫緊」とは
  2. 「喫緊」の使い方
  3. 「喫緊」の類語
  4. 「喫緊」と「緊急」と「直近」

「喫緊」とは

「喫緊」の意味

「喫緊(きっきん)」は「差し迫って重要なこと。または、その様子」を表す言葉です

「喫緊」はもともと「吃緊」と表記していましたが、次にご説明する理由から、「喫緊」の表記が使われるようになりました。

「喫緊」の語源

「喫緊」という言葉の語源は中国語の「吃緊(きっきん)」だと言われています。

詳細な由来は分かっていませんが、一説によれば、「吃」にはその後にくる文字の意味を強調する働きがあり、「緊」が持つ「差し迫る」「厳しい」という意味を強調した言葉が「吃緊」だと言われています。

「吃緊」が「喫緊」になった理由

「吃」という字には「どもる」という意味があります。この漢字を使った「吃音(きつおん)」は、構音障害(こうおんしょうがい:正しく発音できない症状)のひとつですが、これが差別用語だとされたことによって、「吃」は常用漢字表から除外されました。

それを受け、「吃水(船が水に浮いているときの、船体の最下端から水面までの垂直距離)」が「喫水」に、「吃緊」が「喫緊」に書き換えられるようになったのです。

「喫」という字には、「食べる」「口から喉を通してお腹に入れる」という意味があります。食べることは非常に重要だという解釈から、重要度の高い事柄を修飾する文字として、「吃」と同じ音を持つ「喫」という文字が選ばれたと言われています。

「喫緊」の使い方

「喫緊」の使い方

「喫緊」は「対応・対処」「課題・問題」といった言葉と組み合わせて使われる機会が多い言葉です。また、「喫緊に」「喫緊事(差し迫って重要なこと)」のように用いることもあります。

「喫緊」を使った例文

  • この地域において、待機児童は解決すべき喫緊の課題だ。
  • 起きてしまったことは仕方ない。喫緊の対応をお願いします。
  • 商品の仕様が変わったので、取引先との打ち合わせが喫緊に必要です。
  • 我が社において人材育成が喫緊事です。

「喫緊」の類語

「緊要」

「緊要(きんよう)」は「非常に重要なこと、差し迫って必要なことやその様子」を表しており、「喫緊」と同じ意味で使う事ができる言葉です。

「取り急ぎ」

「取り急ぎ」は「取り敢えず」というニュアンスで使われることも多くありますが、本来は「差し迫って・急いで」という意味です。

本来の意味であれば「喫緊」の類語と言えますが、「取り敢えず」の意味で受け取られてしまうと誤解を招くので注意が必要です。

「早急」

「早急(さっきゅう・そうきゅう)」は、「非常に急ぐこと至急」という意味です。「喫緊」よりも「緊急」に近いニュアンスで用いられることもあります。「緊急」については、追ってご説明します。

「喫緊」と「緊急」と「直近」

「喫緊」と似た言葉に、「緊急」、「直近」があります。それぞれ、「喫緊の課題」「緊急の課題」「直近の課題」とした場合、対処しなければならない順番はどのようになるでしょうか。

答えは、①緊急の課題→②喫緊の課題→③直近の課題、です。なぜこのような順番になるのか、それぞれの言葉について解説します。

①「緊急」

「緊急」は「重大で即座に対応しなければならない」という意味です。即座に対応しなければならないということは、対応しなければいけないことが既に起きている、今にも起きようとしているという状態です。

緊急の課題今起こっている重大事件に関する、今すぐに対処しなければならない課題というニュアンスを含んでいます。

②「喫緊」

最初に説明した通り、「喫緊」は「差し迫って重要なこと。または、その様子」という意味です。「差し迫った」ということは、対応しなければいけない出来事はまだ起きていないことを表しています。

つまり喫緊の課題これから起きうる重大な出来事についての課題を指しています

③「直近」

「直近(ちょっきん)」は「現時点から最も近いこと」という意味ですので、未来も過去も指すことができます。

しかし、事の重大性というニュアンスは含んでいませんので、「直近の課題」とは「近いうちに解決する予定の課題」という意味となり、差し迫った事態には陥っていません。


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