「シニカル」とは?意味や使い方をご紹介

歌や漫画のタイトルにも用いられている「シニカル」という言葉をご存知ですか?英語の「cynical」に由来する言葉で、「皮肉な様子」「嘲笑的」といった意味があります。今回は「シニカル」の意味や使い方などについて解説します。

目次

  1. 「シニカル」とは
  2. 「シニカル」と「アイロニカル」
  3. 「シニカルな笑み」と「ニヒルな笑み」
  4. タイトルに「シニカル」を用いた作品

「シニカル」とは

「シニカル」の意味

「シニカル」とは、英語の「cynical」に由来するカタカナ語で、「皮肉な態度をとる様子」「冷笑的」「嘲笑的」という意味の言葉です。

「cynical」とは

英語の「cynical」は、次のような意味を持つ形容詞です。「cynical」には大きく分けて次の2つの意味があります。

  1. 人間の自分の利益のために行動すると信じており、誠意や誠実さに不信感を抱いている。
  2. 自分の利益のためならば一般的な価値基準や道徳を無視することがある。

これらの意味から、「cynical」は「皮肉な(弱点を暴いて)冷笑する(誠意を認めず)嘲笑う軽蔑する」あるいは「悲観的ひねくれた」のような日本語に訳されています。

「cynical」の語源

英語の「cynical」の語源は、古代ギリシャ語の「kynikos(キュコニス派)」で、キュコニス派は哲学の一派です。一方、もともと「kynikos」は「犬のような」という意味で、「犬のように物乞いする人」を指す言葉でもありました。

キュコニス派はソクラテスの思想の一部を受け継いでいましたが、欲を捨て、慣習や文化から独立した生活をするうちに、現実社会に対しては諦めた態度を取るようになります。

人々は、みすぼらしい身なりで物乞いする彼らを「kynikos」と呼ぶようになりました。また、彼らが社会を見下して嘲笑する態度から「kynikos」に、嘲笑、ひねくれたといった意味が加わったのです。

「シニカル」の使い方

「シニカル」という言葉は、主に「シニカルな○○」の形で、人や性格、態度や言動などに対して用いられます。皮肉な態度や嘲笑的というネガティブなニュアンスですから、褒め言葉には使いません

【例文】

  • 君は随分とシニカルな性格なんだね。
  • 彼はシニカルな笑みを浮かべると何も言わずに歩き去った。
  • このキャラクタの台詞はシニカルな表現が多い。

「シニカル」と「アイロニカル」

「アイロニカル」とは

アイロニカル」は英語の「ironical」に由来するカタカナ語で、「皮肉っぽい」「皮肉」という意味があります。

「ironical」とは

英語の「ironical」には、次の2つの意味があります。

  1. 異常によって起きてはならないことが起こる、人を楽しませるような意外な何かが起こる、予想外のことが起こる、などの皮肉な状況になる。
  2. 冗談で、実際の意味とは反対の言葉をいうこと。

これらの意味から、「iconical」は「皮肉な」または「反語的」のような日本語に訳されています。

「シニカル」と「アイロニカル」の違い:ニュアンス

「シニカル」にも「アイロニカル」にも「皮肉な」という意味があります。しかし、「シニカル」には、誠意や誠実さを信じないというニュアンスがあるのに対し、「アイロニカル」には冗談で反対の言葉を使うというユーモアや風刺のニュアンスがあります。

「シニカル」と「アイロニカル」の違い:使い方

「シニカル」も「アイロニカル」も、「シニカルな○○」「アイロニカルな△△」のように用いられることが多いのですが、上でご説明した通り、シニカルの場合○○には、主に人の性格、態度・振る舞いを指す言葉が入ります。

それに対してアイロニカルの場合は、△△に人の性格、態度・振る舞いのほかに、「時代」「作品」などの物事や現象が入ることがあります。

これは、アイロニカルには「風刺」というニュアンスがあるからです。例えば、「アイロニカルな作品」であれば、風刺的で物事を別の角度から描き出した作品を意味しています。

「シニカルな笑み」と「ニヒルな笑み」

「ニヒル」とは

「ニヒル」とは、ラテン語の「nihil」に由来するカタカナ語で、「虚無的・虚無主義的」あるいは「冷たく醒めていて、暗い影のあるさま」を指す言葉です。

「シニカルな笑み」と「ニヒルな笑み」の違い

「シニカル」が「嘲笑的・ひねくれている」を指すのに対し、「ニヒル」は「無関心・虚無・醒めている」ことを表すので言葉の意味は違います。しかし、おそらく、「シニカルな笑み」と「ニヒルな笑み」の顔つきは似たものになるでしょう。

例えば、口角を片方だけあげて薄く笑う、口を少しだけ開いてフッと息を吐くといった具合です。だとすれば、「シニカルな笑み」と「ニヒルな笑み」の違いは、笑みを浮かべるまでの経緯やその人の性格から受ける印象の違いだと考えられます。

タイトルに「シニカル」を用いた作品

シニカル/山口百恵

山口百恵が歌う「シニカル」は、1979年にリリースされた26枚目のシングル『愛の嵐』のカップリング曲で、作詞は阿木耀子、作曲は宇崎竜童が担当しています。

Cynical/GRAY

GRAYの楽曲「Cynical」は、1995年にリリースされた7枚目のシングル『生きてく強さ』のカップリング曲で、メンバーのHISASHIが初めて作詞作曲を手がけた曲です。

『シニカル・ヒステリー・アワー』

玖保キリコによる漫画『シニカル・ヒステリー・アワー』は、1982〜1995年まで白泉社の少女漫画雑誌『LaLa』で連載された作品で、ひねくれていけれどどこか憎めない子供達の日常を描いています。

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