「泡沫」とは?意味や使い方をご紹介

あなたは「泡沫」と聞くと何を連想しますか?「泡沫」は水の泡という意味ですが、はかないもののたとえによく使われます。泡沫の夢や泡沫の恋、泡沫人など、聞いたことがあるのではないでしょうか。今回は「泡沫」の読み方や意味、使い方などを紹介します。

目次

  1. 「泡沫」の読み方
  2. 「泡沫」の意味
  3. 比喩としての「泡沫」
  4. 「泡沫」の使い方
  5. 「泡沫」の語源
  6. 「泡沫」の類語

「泡沫」の読み方

「泡沫」は「うたかた」や「うたがた」と読む熟字訓です。音読みして「ほうまつ」と読むこともあります。

「泡沫」の意味

「泡沫」は水面に浮かぶ「泡(あわ)」です。はかなく消えていくものや、もろくて繊細なこわれやすいもののたとえによく持ち出されます。

比喩としての「泡沫」

はかないもの

泡の正体は液体に包まれた気体です。水の中にいるうちは泡でいられますが、水面に姿を現せば気体が逃げてしまい消え去ってしまいます。そのため、作り出されてもすぐに消えてしまうはかないもののたとえに使われます。

こわれやすいもの

あるいは、シャボン玉のような泡もあります。シャボン玉は人の手に触れればたやすく壊れてしまう繊細なものです。このように、もろいものや壊れやすいものの象徴でもあります。

ちいさなもの

シャボン玉や滝つぼの泡はたしかに美しいものです。けれど、それは胸を打つだけで人の世には何の影響も及ぼさないでしょう。そうした、大勢に影響しない微小な存在のたとえにも使われます。

「泡沫」の使い方

  • 政治家として上り詰めようという彼の夢も、学生時代の悪事が露見して泡沫(うたかた)の夢となった。
  • 泡沫の恋とはわかっていたけれど、あっけないものだった。
  • 取るに足らない泡沫(ほうまつ)候補と思われていたが、まさかの逆転劇で当選した。

「泡沫」の語源

「うたかた/うたがた」の語源

熟字訓としての読み方、「うたかた」や「うたがた」は漢字とは別に古くからある古語です。具体的な由来は諸説あり、未だはっきりとはわかっていません。

ある説では、「うくたまかた(浮玉形)」の略とされます。あわは確かに水底から浮き上がってくる球体です。

また、「うきてえがたきもの」の略という説もあります。あわに触れることはできませんから、確かに「浮きて得がたきもの」です。その他、中が空っぽだから「空ろなかた」などの説があります。

「ほうまつ」の語源

「ほうまつ」は「泡沫」の音読みです。単独で存在していたわけではなく、「泡沫」という中国由来の熟語から生まれた言葉とされています。

なお、漢字そのものの字義はどちらも「あわ」です。「泡」という漢字の字義は空気を包んだ水、つまりあわを表します。「沫」は飛び散った水の端なので、そのまま水しぶきという意味ですね。

「泡沫」の類語

以下に「泡沫」のようなはかないものの象徴を集めました。これらの他にも、雪や花などがはかなさを表すために使われることがあります。

「泡沫」のようにはかないものを表すたとえに「露(つゆ)」があります。朝露は午前中は見られますが、気温の上がる午後には消えてしまいます。夜露は一晩見られますが、やはり夜が明ければ消え去ってしまいます。

はるか昔に詠まれた和歌でも、露は命や人の世、恋心などのはかなさに例えられています。露の縁語には涙や玉もあり、過ぎ去っていくものの印象を一層強めています。

「消える」や「散る」などの動詞を伴うことも多く、古人にとってもはかないものの代表だったのでしょうね。

「はかない」を漢字で書くと、「儚い」となります。人の夢ははかないもの。眠っているときに確かに思えても、目が覚めれば幻になってしまいます。理想や目標という夢もなかなかかなわないものです。

ことわざ「邯鄲(かんたん)の夢」では夢や人の一生ははかないものと教えています。「泡沫」と同じく、「夢」もはかなさのたとえとして使われます。

空蝉

「空蝉(うつせみ)」はせみの抜け殻のことです。「現身(うつせみ)」と音が同じなので、今この世に生きている人という意味でも使われます。

「空蝉」は抜け殻なので中身は入っていません。空っぽです。うつろな姿なのではかなさやむなしさのたとえにもなります。また、枕詞「うつせみの」の後には「命」や「世」、「人」などが続きます。


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