「トラウマ」とは?意味や使い方をご紹介

大災害や悲惨な事件のあとなどで、「トラウマ」という言葉を多く見聞きします。「トラウマ」とは、ギリシャ語が語源での言葉で、様々な原因によって受ける心的外傷を意味します。今回は、私たちの心の健康に大きな影響をもたらす「トラウマ」の意味を、語源を含めて紹介します。

目次

  1. 「トラウマ」の意味と語源
  2. 「トラウマ」の使い方
  3. 「トラウマ」の種類
  4. 「トラウマ」理解の困難さ
  5. 「トラウマ」とPTSD

「トラウマ」の意味と語源

トラウマとは、肉体や心に受けたダメージによって引き起こされる心的外傷、つまり心の傷を意味する言葉です。精神分析学者のフロイトが、1917年に精神が傷を受けるケースを自著で発表した際、その心的外傷を「トラウマ」として表現しました。

トラウマ」の語源は、古代ギリシャ語に遡ります。身体と心の双方の「傷」がトラウマと呼ばれていたのです。

現代の心理学上のトラウマには、身体の傷という意味はありません。辛い体験の記憶や苦しみに心がとらわれると、様々な影響が心身に及びます。そのような状況が、トラウマを負っていると見なされます。

ネット用語的な「トラウマ」

近来、ネットなどを中心に、このトラウマは、もっと軽い意味で用いられてもいます。不快な記憶、ちょっとしたショックをトラウマとして表現することがあるのです。

とはいえ、真に心に傷を受けて苦しむ人々の存在を思えば、あまり軽々しく多用すべきではない言葉かもしれません。

「トラウマ」の使い方

【心理学的用語として】

  • 親に虐待されて育った子供の多くが、深刻なトラウマを抱えている。
  • A氏は、冬山登山で遭難して救出されたが、トラウマは癒えず、今でも山を直視できない

【ネットや会話での二次的用語として】
  • 「バイトでビールジョッキ割って店長に睨まれてさ、あの顔トラウマだあ」
  • 「彼にオムレツ作ったら、塩と砂糖間違えたのよ!もう料理トラウマなんだけど」

「トラウマ」の種類

心理学上のトラウマには、「発達トラウマ」と「ショック(エピソード)トラウマ」の二つの種類があります。

発達トラウマ

発達トラウマ(発達性トラウマ障害)は、子供時代に、親を主とする家族関係において引き起こされたトラウマです。脳の障害でもある発達障害とは異なり、養育期の辛い体験が心の傷として残るものを指します。

まだ研究途上で諸説ある分野ですが、「乳児期に、母親の視線や声かけなども含む親密な養育を受けられなかった」等の、どこの家庭でもおこりうる状況まで含む場合があります。

ショック(エピソード)トラウマ

「ショック(エピソード)トラウマ」は、様々な辛い体験によって引き起こされるトラウマです。感受性によって左右される性質がある心の傷ですので、その要因は、枚挙にいとまがないほど多岐にわたります。

  • 交通事故や災害などで受けた身体的苦痛
  • 失恋、離婚、いじめ、パワハラなどの人間関係による苦痛
  • 他者の苦痛の目撃
  • 映画などを通じる恐怖体験
  • その他、さまざまな個人的苦痛

「トラウマ」理解の困難さ

大震災で瀕死の重傷を負った、子供の頃に壮絶な虐待を受けた、パワハラで失業した…そのような、同情を禁じえないエピソードの場合は、トラウマへの理解も高まります。

しかし、級友への苛めの目撃や、映画のホラー場面などによるトラウマに対してはどうでしょうか。

殆どの人々がやりすごせる状況や場面がトラウマとなって、苦しむ人々が存在します。そんな些細なことで?心が弱すぎるんじゃない?などの言葉は禁物です。人の感受性は実に様々なのです。

要因はなんであれ、当事者が苦しさを抱えるなら、それはトラウマです。心が強い人もいれば、ガラスのように脆い人もいます。当事者の辛さを他者が判定することは有害ですし、精神論や気合などの問題でもありません。まわりがトラウマへの理解を深めることが、治癒の過程にはきわめて大切なのです。

「トラウマ」とPTSD

トラウマの原因となった出来事が、突然リアルに蘇る(フラッシュバック)など、特定の症状で心に苦痛を感じる場合は急性ストレス障害ですが、その状況が一か月以上の長期にわたると、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されます。症状の例を挙げてみましょう。

  • トラウマとなった出来事に関する悪夢を繰り返し見る
  • その出来事が、突然リアルに記憶に蘇る(フラッシュバック)
  • その出来事を象徴、あるいは連想させるような状況への強い心的苦痛や生理的反応

その他、睡眠障害や情緒の不安定、強い苛立ちや怒り、抑うつ感など、人によって様々な精神症状が認められます。

カウンセリングや精神科の受診などの治療はもちろんのこと、信頼できる人間関係のなかで、自分の辛さを受け止めてもらうことも、治癒への大きな支えとなるようです。誰の人生にも、山谷はあります。互いに心の傷を伝えあい、理解しあえるような関係を多く築いていきたいものです。


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