「リベロ」とは?サッカーでの意味や使い方とポジションをご紹介

今はほとんど聞くことはありませんが、以前はサッカー実況などでよく「リベロ」という言葉が使われていました。「リベロ」はある役割を担うディフェンダーの通称です。今回はサッカー用語の「リベロ」の意味や使い方を、役割やポジションも含めて解説します。

目次

  1. 「リベロ」の意味と使い方
  2. サッカーのポジション
  3. フォーメーションの呼び方
  4. カテナチオとリベロの誕生
  5. リベロの確立
  6. リベロ・システムの衰退

「リベロ」の意味と使い方

「リベロ」の意味

「リベロ」とは、サッカー用語で「戦術によって自由に位置を変更し、守備と攻撃をバランスよく両立するディフェンダーの通称」です

一方、バレーボール用語では「守備専門のプレイヤー」を指しますが、この記事ではサッカー用語の「リベロ」についてご説明します。

「リベロ」の由来

「リベロ」は、イタリア語で「(人が)自由な・束縛されない」状態を意味する「libero(リーベロ)」に由来する外来語です。

「リベロ」の使い方

  • 日本代表でリベロをつとめた井原正巳選手は「アジアの壁」と謳われた。
  • 現在のサッカーでは、リベロを置く戦術はほとんど使われていない。

サッカーのポジション

フォワード(FW)

フォワード(forward/FW)は相手ゴールに一番近い位置に居て、得点を取ること、得点のチャンスを作ることを主な役割とするポジションです。

ミッドフィールダー(MF)

ミッドフィールダー(midfielder/MF)はFWとDFの間に居て、攻撃も守備も行うポジションです。サッカー実況などでもよく使われる次のポジションもMFに分類されます。

  • ボランチ(volante)…「ボランチ」はポルトガル語で「舵取り」を表す言葉で、「司令塔」とも呼ばれる攻撃を指揮する役割です。
  • アンカー(anchor)…「アンカー」は英語で「錨/碇(いかり)」を表す言葉で、中盤での守備をコントロールして安定させます。

ディフェンダー(DF)

ディフェンダー(defender/DF)とは守備に特化したポジションで、オフサイドラインを作り出し、相手の攻撃を防ぐ役割があります。その守備のスタイルによって次のように呼称されます。

  • ストッパー(stopper)…相手をきっちりマークして自由にプレーさせない役割です。
  • スイーパー/スウィーパー(sweeper)…特定の相手をマークせず、ゴールへの危険を察知してこぼれ球や空いたスペースを処理します。

ゴールキーパー(GK)

ゴールキーパー(goalkeeper/GK)は、サッカーで唯一手を使うことが許されたポジションです。シュートを止めるだけでなく、DFに守備の指示を出す役割もあります。

フォーメーションの呼び方

各ポジションの人数を表記

一般的に、フォーメーションを表すには、「DF-MF-FW」の順番で各ポジションの人数を羅列しています。例えば、DF4人、MF4人、FW2人という構成ならば「4-4-2」となります。

また、「DF-MF-FW」の表記をより詳細にして、「4-2-3-1」のように「DF-守備的MF-攻撃的MF-FW」の4列に渡って人数を表記することもあります。

その他のフォーメーションの呼び方

DFの数は守備だけでなく攻撃面にも影響を及ぼすことから、3バックや4バックというように、DFの人数をフォーメーションの呼称として用いることがあります。

また、ワントップ、ツートップ、ワンボランチなど、他の特定のポジションの人数に特化した呼称も存在します。

カテナチオとリベロの誕生

カテナチオとは

「カテナチオ」とは、イタリア語で「閂(かんぬき)・掛けがね」を意味する「Catenaccio」に由来するサッカーの戦術の名前で、1950〜60年代にイタリア代表が採用しました。

ディフェンスラインの後ろで左右に動く「スイーパー」の動きが閂を差す動きに似ていたことから名付けられ、また、鍵をかけたように守備が堅い戦術という意味も持っています。

カテナチオ・フォーメーションとリベロ

カテナチオの主なフォーメーションは「1-4-3-2」です。ディフェンスラインにいる4人がそれぞれマンツーマンのディフェンスをして、それが突破された場合に、マンマークのない最後尾の1人がカバーに入ります。

この最後尾の1人は役割上は「スイーパー」ですが、マンマークから自由な状態でいる人という意味で「リベロ」と呼ばれました

リベロの確立

リベロ・システムの確立

世界で最初に「リベロ」というポジションを確立させたのは、1970年代に西ドイツ代表として活躍したベッケンバウアーとされています。

当時の西ドイツ代表は、「4-3-3」のフォーメーションにおいて、4バックの内、マンマークから自由になっているリベロを、守備だけでなく攻撃においてもゲームをコントロールするリベロ・システムを作り上げました。

ベッケンバウアーは「リベロ」として、スイーパーの位置から突然攻撃に参加して敵の意表をつき、チームの攻撃面の戦術を活性化させることに成功しました

リベロとスイーパー

カテナチオにおいては、リベロはスイーパーとしての役割しかありませんでした。しかし、リベロ・システムでは、リベロはスイーパーの役割だけでなく、攻撃を仕掛けてコントロールする役割も果たすようになりました。リベロはスイーパーの発展型と言えるでしょう。

リベロ・システムの衰退

現在では、リベロ・システムはほとんど使われることがありません。なぜリベロ・システムは衰退したのでしょうか。

衰退の理由①1人の能力に依存するリスク

リベロ・システムが衰退した一番の理由は、リベロの能力に大きく依存する戦術だからです。リベロが怪我をしたり、敵の執拗なマークで身動きが取れなくなったら、この戦術は機能しなくなってしまいます。

現在のサッカーでは一人に依存するリスクを嫌い、誰が欠けても機能するようなチーム作りをする傾向にあるため、リベロを置かなくなったのです。

衰退の理由②マンツーマンからゾーンディフェンスへ

リベロ・システム衰退には、フラットな最終ラインでゾーンディフェンスをとる戦術が採用されたことも関係しています。リベロはマンツーマンディフェンスにおいて、最終ラインで1人余らせる戦術ですから、フラットな最終ラインにはリベロは不要なのです。

衰退の理由③攻撃要員を最後尾に置きたくない

「リベロ」はスイーパーであり、攻撃においては攻撃を組み立てる役割があります。そのため、リベロを担当するプレーヤーは攻撃的MF出身の選手がほとんどでした。

最後尾に守備の専門家ではないプレーヤーを置ことがリスクと考えられるようになり、守備的MFが守備を、攻撃的MFが攻撃をコントロールするように、リベロの役割を別のポジションが担う戦術に変化してきたことも、リベロ・システム衰退の一因かもしれません。

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