「厭う」とは?意味や使い方・読み方をご紹介

「厭う(いとう)」は嫌がって避ける意味で使われます。手紙やあいさつなどで「どんな苦労も厭いません」や、「お体にお厭いください」のように使われます。今回は「厭う」について読み方や意味はもちろん、使い方、類語に関連語などをご紹介します。

目次

  1. 「厭う」とは?
  2. 「厭う」の使い方と例文
  3. 「厭う」の類語
  4. 「厭う」の関連語

「厭う」とは?

「厭う」の読み方

「厭う」は「いとう」と読みます。人の苗字の「伊東」や「伊藤」と違い「厭う」のアクセントは「と」にあります。

「厭う」の意味

「厭う」の意味は嫌う、避けるなどです。「避けたい」という意味合いがポイントになる言葉です。

「世を厭う」という形の場合には「出家する」「世俗から離れる」という意味になります。この場合、生きていることで直面するつらいことから逃れたい、生きる苦しみを避けたいから世を捨てるということです。厭世的(えんせいてき)なニュアンスがあります。

手紙などで見られる「お厭いください」などの場合には「大事にする」、「かばう」という意味になります。特に健康面で気を付けてくださいという意味です。危険なことを避けて大事にすることに由来します。

「厭う」の使い方と例文

使い方

「厭う」は文章語ですので、会話文で使う機会は少ないかもしれません。しかし、挨拶などの定型文としては時々使われます。特に否定形の「厭わない」という形が多く使われます。

「厭う」が「嫌だから避ける」という意味ですので、「厭わない」は「避けたり嫌ったりしない」という意味になります。「どんな苦労も厭わない」なら、「どれだけ苦労することになっても逃げだしたり投げ出したりしないで頑張る」という意味です。

例文

  • この夢を叶えるためならどんな困難も厭わない。
  • 目を覆うような悲劇ばかりが続いた結果、彼は世を厭い出家してしまった。
  • どうか無理はせずにお体をお厭いくださいませ。

「厭う」の類語

嫌がる

「嫌がる」とは嫌いな気持ち嫌だという思い表情や態度で示すことです。ただ嫌いなだけでなく、見ている人にわかるように表すことです。

駄々をこねる子供のように、必死で抵抗しているイメージの言葉ですね。「厭う」は抵抗することも放棄して逃げ出しているので、その点で違いがあります。

忌む

「忌む(いむ)」とは不吉なもの、穢れたものとして避けることです。宗教的、呪術的な禁忌やタブーなどを避ける時に使われるので、「厭う」とは使用場面が異なります。

たとえば、「友引の日の葬式を忌む」や「血の穢れを忌む」など、神道やアニミズム由来の理由で避ける場合には「忌む」です。

「つらい経験ゆえに世を厭う」や「トラウマがあるから人付き合いを厭う」のように、個人的な理由や仏教的な意味合いが強いなら「厭う」です。

いたわる

「いたわる」は大切なものとして大事にすることです。漢字で「労わる」と書くように、苦労に感謝することにも使われます。それに対して、「厭う」は健康面を指すことが多く、本人の体について用いられます。

「厭う」の関連語

厭離穢土

「厭離穢土」は「おんりえど」あるいは「えんりえど」と読みます。この世を穢(けが)れた場所として嫌い、離れていくという意味の四字熟語です。

たいていの場合、この後には「欣求浄土(ごんぐじょうど)」と続きます。極楽浄土に行くことを望むという意味の、仏教の言葉です。

畏怖嫌厭

「畏怖嫌厭」は「いふけんえん」と読みます。「畏怖」は畏れ怖がること、「嫌厭」は嫌がって避けることという意味です。怖いから逃げたい、ビビッて逃げようとするといった意味合いの言葉です。

喜新厭旧

「喜新厭旧」の読み方は「きしんえんきゅう」です。新しいものを喜び、古いものを嫌うという意味です。

逆に古いものに執着して新しいものを受け入れないことは「頑迷固陋(がんめいころう)」や「旧態依然(きゅうたいいぜん)」といいます。


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