「葬式鉄」とは?意味や使い方をご紹介

「鉄オタ」「撮り鉄」などに混じって「葬式鉄」という言葉が、一部の熱狂的な鉄道ファンを指して使われるようになってきました。葬式鉄とはどんな人のことなのか、いつごろから登場してきたのか、鉄道ファンにまつわるエピソードなども併せて紹介します。

目次

  1. 「葬式鉄」とは?
  2. 「葬式鉄」の登場は1990年代
  3. 「葬式鉄」登場の背景
  4. 「撮り鉄」「乗り鉄」など多岐にわたる鉄道ファンの分野
  5. マナーを守って鉄道趣味を楽しもう

「葬式鉄」とは?

利用者の減少や老朽化によって鉄道路線や車両が廃止されることが話題になると、急に利用者が増えることがあります。「葬式鉄」とは、廃止当日、あるいは廃止が発表された途端に駅や沿線に詰めかける鉄道ファンのことを、揶揄を込めて呼ぶ言葉です

「葬式鉄」には、それまで見向きもしなかったのに廃止が決まった途端に押し寄せて騒ぐ葬式好きな連中、とか、人や生き物などの最期が近づいていることを喜ぶ連中、といったような皮肉が込められています。そのため、葬式鉄と呼ばれて喜ぶ鉄道ファンはいないので、使う時には注意が必要です。

・〇〇線の廃止が決まってから葬式鉄がたくさん集まって騒がしい。
・葬式鉄が写真撮影のために線路に入って電車を止めた。

のように、あまり良い意味には使われません。

「葬式鉄」の登場は1990年代

1980年代ごろまでは、引退車両は地元から花束を贈られたり、綺麗な装飾を施されたりしながら、静かに最終日を迎えていたようです。葬式鉄らしきものが登場してくるのは、1994年に廃止された和歌山県の野上電気鉄道で、写真を撮ろうとする鉄道ファンに対し会社側が撮影を禁止してトラブルが起きたころに遡ります。

2009年の常磐線207系電車引退の際には、カメラを持ったファンが線路に近づき、列車を緊急停止させました。2010年1月のJR京浜東北線「209系」電車の最終運転では、鉄道ファンが先頭車両に陣取って「鉄オタ専用車両でーす!」「一般人は乗れませーん!」と一般利用者に叫んだことが話題になりました。

2014年3月の寝台列車「あけぼの」の最終運転日には、大宮駅で「邪魔だ!」「フラッシュたいてんじゃねーよ!」などと超満員のホームで一部の人が騒ぐ「罵声大会」が繰り広げられています。

このように、車両の引退と一部の鉄道ファンの大騒ぎがセット化されるようになると、鉄道ファン=非常識なおたく、という印象が強まり、葬式鉄というあまりありがたくない呼称が広まってきたのです。

「葬式鉄」登場の背景

廃線や車両引退が決まると、地方のマイナーな路線でもメディアやSNSで話題になるようになります。かつては廃線のニュースは地元でしか話題になりませんでしたが、インターネットの普及によってその情報は瞬時に拡散するようになりました。

廃線・引退となれば「もう乗れなくなる」「もう見られなくなる」ために、「廃線前に乗っておこう」「見ておこう」という心理が働き、熱心な鉄道ファンはもちろん、普段あまり鉄道に興味のなかった人も集まってしまうのです。

「撮り鉄」「乗り鉄」など多岐にわたる鉄道ファンの分野

一口に鉄道ファンといってもその分野は多岐にわたります。

写真を撮るのを楽しむ「撮り鉄」、車両の分類や歴史などの研究を楽しむ「車両鉄」、電車の走行音や発車メロディなどに注目する「音鉄・録り鉄」、乗車して鉄道旅行を楽しむ「乗り鉄」、駅で降りては観光を楽しむ「降り鉄」、鉄道模型を愛する「模型鉄」、時刻表やダイヤグラムに集中する「時刻表鉄」など、いろいろな楽しみ方があります。

小さな男の子なら、電車のおもちゃに熱中し、電車に乗りたがり、電車の絵本が大好き、という子も少なくありません。鉄道好きな子どもを「子鉄」といいます。そして、子鉄の我が子の影響でそれまで全く興味のなかった鉄道にだんだんと深入りしていく保護者は「ママ鉄」です。

マナーを守って鉄道趣味を楽しもう

鉄道ファンは全国に150万~200万人いると推計されています。その殆どは、マナーを守って純粋に鉄道趣味を楽しんでいる方たちです。本来、鉄道趣味は非常に幅も奥も深い、高度に知的な趣味と言ってもよいものですが、残念なことに自分の趣味を優先するあまり、周囲に気を配ることができない一部のファンの暴走が目立つようになりました。

引退する車両を撮影したいがために、普段からその鉄道を利用している一般の乗客を押しのけたり、鉄道会社に迷惑をかけるのはマナー違反。本当に鉄道を愛するのなら、マナーを守って楽しむのがよいのではないでしょうか。

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