「しかし」とは?意味や使い方をご紹介

日常的に発言だけでなく、文書を作成する際、読書などで、皆さんもよく使われている「しかし」の意味と使い方ですが、言うまでもなくご存じだと思います。しかし、簡単に使っている言葉だからこそ、深い意味があるのかもしれませんよ。今回は深く掘り下げて考えてみましょう。

目次

  1. 「しかし」の辞書的な意味と使い方
  2. 「しかし」は漢字で書くと?~『然し』?『併し』?~
  3. 「しかし」のまとめ

「しかし」の辞書的な意味と使い方

①相対することを述べる時

「今まで述べた事柄を受け、それと相反することを述べる時に使う。」とあります。特に直前で述べたことに対して正反対のことを述べる時に使います。例)「君に強くは言いたくない。しかし、上司として言わなければならない。」

②話題を転じる時

「今まで述べてきた事柄を受けて、話題を転じる時に使う。」とありますが、例えば下記のようになります。例)「こんなに遅くまでよくこの商談を決めてくれたな!しかし、ご家族は心配しないかね。」
 

③感情を込めて言いはじめる時

「感情を込めて言いはじめるときに用いる。」とあります。言い換えると、「それにしても」や「なんとまあ」という意味になります。例)「しかし、よくこのお客様を説得してくれたものだ!」

「しかし」は漢字で書くと?~『然し』?『併し』?~

今回は最も多く使用する「しかし」の用法の①に着目して考えてみましょう。

「しかし」を漢字で書くと「然し」もしくは、「併し」です。現在の日常生活では、まず使いませんが、それぞれの「然」や「併」という漢字に着目していくと、「しかし」という接続詞の本来の姿が見えてくるかもしれませんので、じっくりと見ていきましょう。

「音読み」と「訓読み」とは?

小学生の頃に意味も分からず、「音読み」は●●。「訓読み」○○です。と習ったことがありますし、漢字辞書で「漢字」を調べてみると、それぞれ「音読み」「訓読み」それぞれの漢字の読みが書かれていますよね。

まずは、「音読み」と「訓読み」の解説をしてからでなければ、「しかし」の本来の意味は浮かびあがってきません。ものすごく簡単に説明しますと、

・「音読み」とは、「昔の中国の発音をもとにした読み方で、それを聞いただけでは、あまり意味がわかりません。

・「訓読み」とは、漢字の意味を表す日本語の読み方で聞いただけでも、意味の分かりやすいものが多いのです。
 

「然し」~然れども~

では、私がもし、皆さんに、自然の「然」をひらがなに直して下さいと質問したとしましょう。ほとんどの皆さんの回答は、「ぜん」や「ねん」とお答えになるでしょう。その読み方は、「音読み」です。そうすると、「然し」の本来の意味は浮かびあがってきません。

「然」の訓読みは、「しか」や「さ」が多いのですが、この「しか」と「さ」に着目して、「然し」の理解を深めてみましょう。

「さ」や「しか」と読む場合の意味は「そのように」や「そう」という意味で、時代劇などで、「さはあらじ!」や「然(さ)もありなん!」と聞いたことがあるかもしれません。「そうではないであろう!」や「そうであろう!」という意味ですが、聞いただけでもなんとなく現代語の意味はわかりますよね?それは、訓読みだからです。「然し」はこの「さ」や「しか」に由来します。

現代語の「しかし」は逆接の接続詞です。前述しましたように、直前に述べたことは逆のことを述べますから、昔は「然(しか)れども」や「然(さ)れども」と言いました。「そうではあるけれども」と言う意味ですね。「しかし」の語源がだんだんと見えてきましたね。

そして、現代になるまでに、口語では、発音の便宜上、おそらく「しかし」とだんだんと長い年月の中で変化していったのではないかと考えられます。

「併し」~同じだけれど~

では、同じように「併」を見てみましょう。「併」は音読みで「へい」、訓読みでは「あわ」、「なら」、「しか」です。「併せる」や「併ぶ」、「併し」と使われますが、この漢字は音読みでも漢字の意味が分かりやすいですね。熟語とセットで「併合する」や「併殺する」という言葉を歴史や野球などの場面で聞きます。「併」の意味は「二つ以上のものを合わせる」や「ならぶ」や「ならべる」という意味になります。

では、それを踏まえた上で「しかし」を「併し」に直してみると、「然れども」のような語源には近づいてきません。ただ、近世や近代になって、「併」の字の意味と照らし合わせた上で、「併し」、「同じだけれど」という意味で誰かが使ったことによって、「併し」という漢字も使われるようになったのかもしれません。現在でも、昔の小説家が当てた字が常用化されているものもありますし、言葉も「ら」抜き言葉や「い」抜き言葉と言われるように少しずつ変化してきているのも現実です。

「しかし」のまとめ

「しかし」という言葉は、馴染みがありすぎて深く考える機会はなかなか来ませんが、このように漢字に着目しながら考えてみると、色々な言葉の意味が見えてきます。今回は「しかし」をみてきましたが、「然し」という漢字を当て込んで考察した結果の方が「しかし」の由来としては古いのでしょう。簡単な言葉もこうして考えてみると面白いものですね。


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