「冬来りなば春遠からじ」とは?意味や使い方をご紹介

「冬来りなば春遠からじ」は、冬の到来を待ちわびる表現です。雪国にお住まいの方なら毎年頭に浮かぶ言葉かもしれませんね。またそれだけではなく、より広い意味での使い方もあります。ここでは「冬来りなば春遠からじ」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「冬来りなば春遠からじ」の意味
  2. 「冬来りなば春遠からじ」の文法
  3. 「冬来りなば春遠からじ」の例文と使い方
  4. 「冬来りなば春遠からじ」の由来

「冬来りなば春遠からじ」の意味

冬来りなば春遠からじ(ふゆきたりなば・はるとおからじ)」は、冬が来たなら春までもうすぐだろう、という意味です。春が待たれるという心情を表した言葉です。

また、冬という厳しい季節を過ごしたらやがて暖かな春が来ることから、苦しい事を耐え忍べば必ず喜びいっぱいの幸せなときが訪れる、という例えとしても使われます。

今現在不幸な状態にあったとしても、いずれ幸せがきっと巡ってくるから、それまで耐え忍べ、という教えが込められています。

「冬来りなば春遠からじ」の文法

「冬来りなば春遠からじ」は、文語調の言葉です。あまり馴染みのない表現かもしれませんね。そこで、文を二つに分け、文法を整理してみましょう。

【冬来りなば】とは

冬来りなば】を分解して文法を見てみましょう。

  • 冬…名詞
  • 来り…文語動詞「来(きた)る」の連用形
  • な…完了の助動詞「ぬ」の未然形
  • ば…仮定の接続助詞

よって【冬来りなば】は、「冬が来た」ということを仮定する表現になるため、「冬が来たならば」という意味になります。

【春遠からじ】とは

次に【春遠からじ】を分解して文法を見てみましょう。

  • 春…名詞
  • 遠から…文語形容詞「遠し」の未然形
  • じ…文語の打消し推量助動詞

「遠い」を否定的に推量していますので、【春遠からじ】は、「春は遠くないだろう」という意味になります。

【遠からじ】と【遠からず】の違い

皆さんの中には、【遠からじ】は聞いたことがないけれど、【遠からず】なら聞いたことがある、という方もいらっしゃるかもしれませんね。そこで、ここでは【遠からず】の文法についても見てみましょう。

  • 遠から…文語形容詞「遠し」の未然形
  • ず…文語の打消しの助動詞

「遠い」を打ち消しているので、「遠くない」という意味になります。「遠からじ」が「遠くないだろう」と推量しているのと比べると、少し断定的な印象を受けるかもしれませんね。

「遠からず」は具体的には「当たらずといえども遠からず」などとして使われています。ぴたり正解ではないけれど、大体は当たっている、という意味ですね。

また副詞として、「この作品は遠からず世に出るだろう」のように、近いうちに、遠くない将来に、という意味でも使われています。

「冬来りなば春遠からじ」の例文と使い方

  • 今年も2メートルを超える雪だが、冬来りなば春遠からじだ。もう少しの辛抱だね。
  • 就職活動、本当に大変そうだね。冬来りなば春遠からじというから、何とかがんばれ。
  • 赤字が続いているようだが、冬来りなば春遠からじだよ。

一番上の例文は、文字通り春を待ちわびる意味で使われていますね。下の二つの文は、苦しい事を耐えれば幸せが来る、と励ましの言葉として使われています。

「冬来りなば春遠からじ」の由来

冬来りなば春遠からじ」は、イギリス・ロマン主義を代表する詩人、パシー・ビッシュ・シェリーの『西風に寄せる頌歌(しょうか)』の一節から来たと言われています。

『西風に寄せる頌歌』は、1819年10月に旅先のイタリアで、西風の吹き荒れる秋をうたった5つの詩の連作という形になっています。その結びの一節を以下にご紹介します。
 

If Winter comes, can Spring be far behinds?
(冬が来たなら、春はまだ遠いということがあり得るだろうか?)
『Ode to the West Wind』

「冬来りなば春遠からじ」の定着

アルヴィ宮本なほ子編『対訳シェリー詩集』によると、上記の一節からタイトルをとった、ハッチンソンの『If Winter comes』が映画化され、1925年に『冬来たりなば』というタイトルで上映されて以来、日本において「冬来りなば春遠からじ」が知られるようになったとのことです。

ちなみに、シェリーの妻メアリは、『フランケンシュタイン』で知られるイギリスの小説家です。メアリはシェリーの死後、遺稿の整理編集・出版に尽力しました。それにより、シェリーが評価が高まったと言われています。


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