「学問に王道なし」とは?意味や使い方をご紹介

みなさんの中には受験勉強中などに「学問に王道なし」と叱咤激励された方もおられるでしょうか?今回は、この「学問に王道なし」という言葉の意味や由来、使用上の注意点、また、「王道」という言葉の由来や誤用についてもご説明します。

目次

  1. 「学問に王道なし」の意味
  2. 「学問に王道なし」の使い方
  3. 「学問に王道なし」の由来
  4. 「学問に王道なし」の類義語
  5. 「王道」と「王の道(royal road)」

「学問に王道なし」の意味

「学問に王道なし」とは、「学問には簡単に習得できる近道というものはない」という意味のことわざです。詳細は後述しますが、「王道」とは「王の道」を指しています

「学問に王道なし」の英語表現

「学問に王道なし」ということわざは、英語の「There is no royal road to learning.」を和訳したものです。

「学問に王道なし」の使い方

「学問に王道なし」ということわざは、勉学に関すること以外では使用しません。よって、スポーツなどには使用できませんので、ご注意ください。

  • 使用例1:「学問に王道なしで、一夜漬けでは英語は習得できない。」
  • 使用例2:「コツコツと試験勉強に励むしかない。学問に王道なしだ。」

「学問に王道なし」の由来

「学問に王道なし」の由来

このことわざは、ギリシャの数学者ユークリッドが、エジプト王プトレマイオスに「幾何学を学ぶのに簡単な方法はないか」と問われた時に、「学問に王道なし」と答えたというエピソードに由来しています。

しかし、このエピソードは、ギリシャの数学者メナイクモスとアレクサンドロス3世(アレクサンドロス大王)の逸話にそっくりなので、真偽のほどは不明とされています。

ユークリッドとは?

  • ​​​​​​ギリシャ名:エウクレイデス/英語読み:ユークリッド(Euclid)
  • 紀元前330年頃から紀元前275年頃
  • ギリシャの数学者。プラトンに学び、アレクサンドリアで教育に従事
  • 『原本』、『光学』、『天文現象』、『音楽原論』などを著す

ユークリッドの生涯については不明な点も多いのですが、プロフィールは上記の通りです。

『原本(ギリシャ名:ストイケイア/英名:Elements)』は、ユークリッドが先人たちの数学の成果を集大成し,論理的な体系に組織したもので、聖書に次いで多くの版を重ねて研究された書物です。

「幾何学の祖」とされるユークリッドは、『原本』で幾何学を展開するにあたって5つの公理と5つの公準を大前提としましたが、これらの公理と公準に基づく幾何学を「ユークリッド幾何学」と言います。

プトレマイオス1世とは?

  • ラテン語名:プトレマイオス1世/英語読み:トレミー
  • 紀元前367または366年頃から紀元前283年
  • ヘレニズム時代のエジプト王国プトレマイオス朝の初代王(在位:紀元前前317年から紀元前283年)

プロトレマイオス1世は、アレクサンドロス3世の侍従となり、幕僚として東征に従軍しました。王の死後は遺骸を擁し、いち早くサトラップ(総督)としてエジプトに陣取ってディアドコイ(後継者)の一人として後継者争いに加わり、アレクサンドリアを首都としたエジプト王国プトレマイオス朝を開きました。

内政において統治体制を確立し、セラピス神殿、アレクサンドリア図書館と併設されたムセイオン(王立研究所)を建設。また、外征においては領土を東地中海まで拡張し、親ギリシア政策をとりました。

こうして古代エジプトの繁栄を取り戻た功績から、プトレマイオス1世は古代ギリシア語の「救済者(ソーテール)」の称号で呼ばれたのです。

「学問に王道なし」の類義語

「学問に王道なし」は、「学問に近道なし」「幾何学に王道なし」とも言われます。また、『論語』に由来する「下学上達(かがくじょうたつ)」、「下学して上達す(かがくしてじょうたつす)」とは、「手近なところから学びはじめて、しだいに深い学問に進んでいくこと」を指す言葉です。

「王道」と「王の道(royal road)」

「王道」の由来は中国語

もともと「王道」は中国に由来する言葉で、「仁義に基づいて国を治めること」、「儒教で説かれた理想的な政治のあり方」という意味があります。

徳を政治の基とする思想は『書経』や『論語』などにも書かれていましたが、孟子が「王道」を「覇道」の反対の概念として、次のように明確化しました。

  • 「王道」:天によって任命された王の行う文治政治
  • 「覇道」:春秋時代の覇者の行なった武力による権力政治

「王の道(royal road)」とは?

一方、「学問に王道なし」の英文「There is no royal road to learning.」における「royal road」は、「王の道(Persian Royal Road)」のことで、紀元前5世紀、アケメネス朝ペルシャ帝国の大王ダレイオス1世が建造させた古代の公道を意味しています。

「王の道」のすべてをダレイオス1世が作ったわけではありませんが、既存の道路の路床を整備し、バラバラだった道路を結んでひとつの大公道とすることで、迅速な交通と通信が容易になりました。

王都スーサから帝国の遠隔地サルディスまでの2,699キロメートル(東京駅〜新大阪駅を2.5往復する程の距離)を僅か7日間で旅することができたのです。

「royal road」は、「楽に旅することができる道」、「素早く目的地に到着できる近道」という喩えとして、「There is no royal road to learning.」ということわざに引用されましたつまり「王道」には、2つの語源が存在するということです。

「王道」と「王の道(royal road)」

「王道」には次の3つの意味がありますが、辞書によっては3の意味は掲載されていません。

  1. 徳をもととして国を治めること。儒教で説かれた理想的な政治のあり方。
  2. 安易な方法。近道。
  3. 物事が進んで行くべき正当な道。欠点のない方法、手段。

1は上記の中国語の「王道」に由来しています。そして、2は上記の「There is no royal road to leaning.」の「royal road(王の道)」が「王道」と訳されてしまい、それが浸透したことから加わった意味です

3は、1の意味の「理想的な政治のあり方」→「あるべき姿、進むべき道」→「正しい方法、正当な道」のように変遷して使われるようになりました。

3の意味で、例えば「これはミステリーの王道を歩む作品だ」と用いるのは誤用と見る向きもありますが、現状この意味で広く使われているので、いずれ誤用ではないとされるでしょう。

3の意味での「王道」の類義語としては、「堅実」、「忠実」、「無難」、「ベタ」、「正攻法」、「定石」、「セオリー」などが挙げられます。

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