「餅屋」とは?意味や由来をご紹介

多くの日本人に好まれる餅ですが、専門店である「餅屋」に行かなくても、近所のスーパーや通販でも餅を買える時代になりました。そんな餅について「餅屋」の由来と今日の状況に加え、「餅屋」という言葉を含んだことわざも併せてご紹介します。

目次

  1. 餅屋とは
  2. 餅屋の由来
  3. お正月の餅 - 江戸時代
  4. お正月の餅 - 明治以後
  5. ことわざ - 餅は餅屋
  6. 餅は餅屋の類語

餅屋とは

「餅屋」とは「餅をついて売る店や人のこと」です。今日でも餅屋は健在で、全国各地に有名店があります。

持ち込んだもち米をついて加工してくれる店や、餅とお茶専門の喫茶店、時には地方のイベントで威勢の良い高速餅つきを見る機会もあります。

電動餅つき機をお持ちの家庭もあるでしょうが、やはり「餅は餅屋」、本当の餅は粘りや伸び具合、歯ごたえが違います。臼と杵で搗(つ)いた餅は時々食べたくなりますね。

餅屋の由来

餅屋の歴史は、16世紀に自家で搗いた餅を女性が売り歩いたことに始まります。やがて、餡餅(あんもち)屋や餅菓子屋が大都市に現れ、搗き餅を売るほか、料金を取って餅を搗く賃餅(ちんもち)も行われるようになりました。

お正月の餅 - 江戸時代

江戸時代、年末になると武士や寺社、大店(おおだな)の商家などは、使用人に餅を搗かせて正月を迎える準備をしました。一方、それができない町人や職人などは、次のような方法で餅を用意しました。

  • 賃搗屋(ちんつきや)に依頼する
  • 引きずりに依頼する
  • 賃餅屋(ちんもちや)に依頼する

「賃搗屋」とは

賃搗屋(ちんつきや)は杵、臼、蒸し器などの道具を持参し客の家に出向いて、台所を借りてもち米を蒸し、家の前で餅を搗きます。年末になると、町人や職人に依頼された賃搗屋の餅をつく音が、町中に響き渡ったといいます。

「引きずり」とは

餅を搗いてもらうのに賃搗屋ではなく、「引きずり」と呼ばれた鳶(とび)などの仕事師に頼むこともありました。

餅搗きの注文を受けた鳶などの仕事師たちが「引きずり」と呼ばれるようになった由来は、彼らが数人を引き連れ騒々しく道具を引きずって各家を回ったことによります。搗いた餅は「引きずり餅」と言います。

「賃餅屋」とは

賃餅屋は客が持参したもち米を搗き、注文に応じて鏡餅、のしもち、丸餅などに加工します。これは「賃搗屋」を雇う余裕のない家庭が利用する肩身の狭い方法だったようですが、さらに時代が下ると、当たり前に庶民が利用するようになりました。

お正月の餅 - 明治以後

明治後期になると、自家で搗いた餅を売るほか、仕入れた餅を売るだけの純然たる商店も現れます。

そして現在では餅は年中、どこでも入手できるようになりました。専門店である餅屋は健在ですし、和菓子屋、スーパーや通販でも購入できます。杵や臼のある家庭は少なくなりましたが、電動餅つき機を利用する家庭もあります。

年末の餅搗きですが、29日と31日は古くから避ける習慣があります。29日は「苦を搗く」に通ずるため、また31日に搗いた餅は元旦前日のため「一夜餅」として避けられます。したがって、28日に餅つきをするのが良いとされます。

ことわざ - 餅は餅屋

専門店としての「餅屋」は、ことわざのなかでも生きています。

餅は餅屋」とは、素人が搗いた餅は餅屋の餅ほどおいしくないことから、物事にはそれぞれ専門家があり、素人はとてもかなわないという意味で使われることわざです。

  • 「パソコンが起動しなくなったので業者に依頼したらすぐに直してしまった。餅は餅屋だね。」
  • 「友人の家でごちそうになったのですが、おいしいと思ったらご主人が調理師だそうです。やはり、餅は餅屋ですね。」

餅は餅屋の類語

類型的なことわざは多くあります。以下はいずれも、その道のプロに任せておけと言う意味のことわざです。

  • 馬は馬方
  • 刀は刀屋
  • 山の事は樵(きこり)に聞け
  • 海の事は漁師に聞け
  • 酒は酒屋に茶は茶屋に
  • 病は医者、歌は公家

「蛇(じゃ)の道は蛇(へび)」

「餅は餅屋」と意味が近いのでここで挙げますが、少し説明の必要があるでしょう。「蛇の道は蛇」とは、同類のものは、たがいににその間の事情に通じている、と言う意味です。

「蛇(じゃ)」は大蛇、「蛇(へび)」は小蛇または他の蛇のことです。「じゃ」の道を「へび」が知るというのは、大蛇が通る道は小さな蛇または他の蛇がよく知っているという意味です。

蛇のイメージから悪い意味でのみ使われると思われる方もいるかもしれませんが、そうではありません。

【例文】

  • 「ネットがつながらなくなったので、パソコン歴の長い彼に見てもらったらすぐつながった。蛇の道は蛇だね」

「左官の垣根」

「左官の垣根」は壁を塗る職人に垣根を作らせてもうまくいかない、専門家に任せよという意味ですから、「餅は餅屋」と結局、同じ意味になります。

【例文】

  • 「キッチンのリフォームを頼まれたんだが、私は畑違いなんですよ。左官の垣根でね。」


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