「冥土」とは?意味や使い方をご紹介

「冥土」はメイドカフェやメイド服でおなじみのメイドさんを意味するネットスラングです。また、本来の「冥土」は仏教において死後の世界を表す言葉です。「冥土」は「冥途」とも書かれますが、多くの場合同じ意味です。「冥土」のような死後の世界は多くの宗教で見られます。

目次

  1. 「冥土」とは?
  2. 「冥土」か「冥途」か
  3. 「冥土」のつくことわざ
  4. 他の宗教における「冥土」

「冥土」とは?

スラングの「冥土」

「冥土」はスラングとして給仕や家事の手伝いをする女性を意味する「メイド(maid)」の意味で使われます。基本的にはインターネット上でのみ使われるネットスラングの一つで、東京は秋葉原を中心にメイド喫茶などメイドブームが来たことで生まれた表現です。

なお、メイドブームは『電車男(中野独人著)』が火付け役となったオタク文化から注目され始めたようです。

「メイド」を「冥土」と表記するため、「メイド喫茶」や「メイド服」もそれぞれ「冥土喫茶」や「冥土服」と書かれることになります。

本来の「冥土」

スラングではない、本来の「冥土」は仏教における死後の世界を表す言葉です。この記事ではこちらを取り扱います。

仏教では人は死ぬと旅に出るとされています。その旅をする場所が「冥土」です。まず、親より先に夭折(ようせつ)した子供たちが石を積む賽(さい)の河原。次に罪の重さをはかる三途(さんず)の川

そして、閻魔大王(えんまだいおう)を中心とする十王の裁判所。ここで生前の罪に応じて裁判を受けます。この裁判の結果で来世に行く世界が決まります。この死んでから転生するまでを過ごす場所を「冥土」と呼びます。

生まれ変わって次の世界に行くことを転生と呼び、行先は6種類候補があります。悪い方から地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、そして天です。

「冥土」か「冥途」か

「冥土」は「冥途」とも書かれます。上記の様に「冥土」は次の行先が決まるまでの間過ごす通過点に過ぎません。「冥土」で行われる裁判は長くても三回忌までの三年間といわれています。短い時を過ごす仮の世界、旅の途中に過ぎないということで「冥途」とも書かれます。

また、「冥途」は死後の旅や旅路を表し、「冥土」は死後の世界そのものを表すという説もあります。しかし、多くの場合使い分けはされておらず、どちらも同じように使われます。この記事では「冥土」で統一します。

「冥土」のつくことわざ

冥土の土産

「冥土の土産」は冥土に行く時にあの世に持っていく土産、すなわち、それを手にして安心して死ぬことができるようなものを指します。

「死人に口なし」と同様に「これから死ぬ人が真実を知ってもばれることはない」という意味で使われることが多く見られます。

冥土の旅

「冥土の旅」は死んだ後にする旅のことを指します。この言葉は一休禅師の「門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」という狂歌に由来します。

この狂歌には次のような意味があります。昔は年齢を数え年で数えていました。数え年では正月に一歳年を取ります。そのため、正月が来たということはより死が近づいたということだと歌っているのです。なお、一里塚(いちりづか)とは旅人が自分の居場所を知るための目印となる塚のことです。

他の宗教における「冥土」

「冥土」は仏教における死後の世界です。他の多くの宗教でも同様の概念があります。有名なものをいくつか紹介します。

神道

日本古来の宗教、神道では人が死後に行く世界は「黄泉(よみ)の国」です。「黄泉の国」は「冥土」の様にほかの世界にあるところではなく、現世の地下にあると考えられていました。日本を生んだ女神「イザナミノミコト」が治める国です。「黄泉の国」の入り口は千人の力が必要な「千引きの岩」で閉ざされています。

キリスト教

キリスト教では人々が死後に行く場所は三つあります。善い行いをした人は天国(heaven)へ。小罪を犯した人や生前の罪をまだ完全には償っていない人は煉獄(purgatrio)に。そして、大罪人は地獄(inferno)へと落とされます。

ギリシャ神話

ギリシア神話では死者のいく世界は三種類登場します。一つは英雄や義人の行く楽園エリュシオンです。そして悪人のいく世界が冥府ハデスとされています。

なお、冥府ハデスを支配している神もまたハデスといいます。そして、大罪人や神々に敵対していた者たちが落とされるのが奈落タルタロスです。


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