「破天荒」とは?意味や使い方をご紹介

「破天荒(はてんこう)」とは「今まで誰もなし得なかったことを初めてすること、またその様子」を意味する言葉です。誤用の多い言葉でもあり「掟破りで豪快で大胆な様子」と捉えている人も少なくないかもしれません。この記事では「破天荒」の正しい内容についてまとめています。

目次

  1. 「破天荒」の意味
  2. 「破天荒」の語源
  3. 「破天荒」の使い方
  4. 「破天荒」の類語
  5. 「破天荒」の誤用について

「破天荒」の意味

「破天荒」「はてんこう」と読みます。意味は、「今まで誰もなし得なかったことを初めてすること、またその様子」です。

「破」は「うちやぶること」あるいは「突破すること」を意味し、「天荒」は「未開の荒蕪地(荒野)」や「未分化で混沌とした様子」を意味しています。なので、天候(天気)や災害とは何の関わりもありません。

では、「破天荒」と言う言葉はどのようにして生まれたのでしょうか。その語源を見てゆきましょう。

「破天荒」の語源

「破天荒」の語源は、中国の古典にあります。宋代の説話集、『北夢瑣言(ほくむさげん)』によれば、かつて唐の時代、荊州と言う土地は、「科挙(かきょ=超高倍率で知られる高等官吏資格試験)」に合格する者を、100年以上の長きにわたって輩出できていなかったため、「天荒」の地と揶揄されていました。

しかしある年、「劉蛻(りゅうぜい)」が前例を打ち破り、見事科挙に合格しました。現代の日本で言うのなら、偏差値の低い高校から突如として東大に合格したようなものでしょうか。荊州の人々は州をあげて劉蛻を褒めそやしたことでしょう。

このように、古い慣例をやぶって新たな偉業を成し遂げた劉蛻の行いを賞して、「破天荒」と言うようになったのです。

「破天荒」の使い方

上記のように、「破天荒」は前例のない偉業を賞賛する意味で使われる慣用句です。そのため、例としては以下のように使います。

  • 彼はたゆまぬ努力によって、ついに破天荒の偉業を成し遂げたのだ。
  • この破天荒な大事業が成功するかどうかは、みなさん一人ひとりの頑張りにかかっています。
  • 彼女の破天荒な試みは、その性格によるところもあるのだろう。
このように「破天荒」は、原則として良い意味で使います。

「破天荒」の類語

「破天荒」の類語としては、次のようなものがあります。

  • 未曾有(みぞう、みぞうう):「いまだかつてあらず」と言うことで、非常に珍しいこと。
  • 前代未聞(ぜんだいみもん):今まで一度も聞いたことがないほど珍しいこと。
  • 空前絶後(くうぜんぜつご):サンシャイン池崎のネタでもおなじみ。「空前」は今までになく、「絶後」は後にもないこと。後にも先にもないほど珍しいこと。
  • 例を見ない:他に例えることができないほど珍しいこと。「無類(むるい)」や「類稀(たぐいまれ)」とも。
  • 珍しい:見聞きすることがまれであること。普通とは違っていて目新しいこと。「稀有(けう)」なども同じ意味。
  • 千載一遇(せんざいいちぐう):千年に一度あるかないかというくらい、珍しいこと。

「破天荒」の誤用について

さて、ここまで読んできて「あれ?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「破天荒」と聞くと、「破天荒な性格」とか「破天荒な人物」といった使われ方が思い浮かび、決して良い印象を持っていなかった、もしくは「破天荒」って「やんちゃ」とか「アウトロー」的な意味じゃないの?という方も大勢いらっしゃることと思います。

それもそのはず、文化庁の調査(平成20年)によれば、アンケート回答者の6割以上が「破天荒」の意味を、本来の意味ではなく「豪快で大胆な様子」だと回答していたそうです。

ですが、それは「破天荒」本来の使い方ではありません。「破天荒」はあくまでも「誰も成し得なかったことをすること」なので、本来人の性格や人間性に用いる言葉ではありません

言葉は時代とともに移ろっていくものであるとはいえ、その本来の使い方も知っておけると良いですね。

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