「苦心惨憺」とは?意味や使い方をご紹介

皆さんは、「苦心惨憺(くしんさんたん)」という四字熟語をご存じですか。漢字の並びから、とても辛く苦しいような印象を受けるのではないでしょうか。この記事では、「苦心惨憺」を「苦心」と「惨憺」に分けて、意味や使い方を詳しくご紹介します。

目次

  1. 「苦心惨憺」とは
  2. 「苦心」とは
  3. 「惨憺」とは
  4. 「苦心惨憺」の例文と使い方
  5. 「苦心惨憺」の類語

「苦心惨憺」とは

「苦心惨憺(くしんさんたん)」とは、「骨身を削るような苦心を重ねること」という意味の四字熟語です。「苦心」と「惨憺」の二つが合わさってできたものです。

「骨身を削る」の「骨身」とは、漢字の通り「骨と肉」を表しますが、「体全体・全身」という意味もあります。それを削るほど、ということで「痩せるほど一生懸命努力する」という比喩になるのです。

ほかに「骨身」を使った表現として、「骨身に応える:苦痛や悲しみなどを心身に強く感じる」、「骨身を惜しまない:労苦をいとわず努力する」、などがあります。

「苦心」とは

「苦心」とは、「物事をなしとげようとして、あれこれと頭をはたらかせ苦労すること」という意味の言葉です。「苦心の末この原稿を仕上げた」「苦心の作だ」などが例文です。

もともと、「苦」には「苦しみ・心身を悩ます不安な状態」「骨折り・苦労」「悩み・心配」という意味があります。また、心身を表すほか、味覚の「にがみ」という意味もあります。

「くしん」という読み方で、「苦辛(辛苦とも)」という言葉もあります。意味は、そのままの「つらく苦しいこと」です。ほかにも、「苦」を使った言葉は「苦痛」「苦難」「重苦」など、見るだけでぐったりとしてしまうようなものばかりです。

「惨憺」とは

「惨憺(さんたん)」とは、「いたたましくあわれなさま」「さまざまに心を悩ますさま」を表すほか、「薄暗くてもの恐ろしいさま」という意味もあります。

「憺」という漢字は普段あまり目にする機会はないかもしれません。漢字検定一級の難読字です。「心が安らかである」という意味があります。

「惨憺」の使い方として、「惨憺たる敗北だ」「惨憺たる結末を迎えた」など、むごたらしい場面やボロボロに打ちひしがれている様子を表します。重苦しい印象を与える言葉なので、軽々しく使わない方が良いでしょう。

「苦心惨憺」の例文と使い方

  • 彼が苦心惨憺して書き上げた原稿を、粗末に扱ってはいけない。
  • 苦心惨憺してみんなでアイディアを出し合った。この研究はきっと報われるだろう。
  • 彼女は才能と運だけで上り詰めたわけではない。裏では苦心惨憺の努力をしていたのだ。

このように、「苦心惨憺」は大変な努力や工夫を重ねた様子を表します。「まあまあ」や「このくらいでいいだろう」というような妥協は一切なく、ひたすらに力を注ぐ一生懸命さが伝わります。「苦心惨憺」の末、完成した物事には、計り知れない達成感や喜びを感じるのではないでしょうか。

「苦心惨憺」の類語

四字熟語

  • 粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく):米の一粒一粒に、育成した農民の苦労がこもることが転じて、「細かな努力を着実に積み重ねて物事の完成・実現を目指すこと」という意味の言葉になりました。
  • 悪戦苦闘:「困難にうち勝とうとする必死の努力」という意味です。もともとは、「死にもの狂いの苦しい戦闘」を表しました。
  • 彫心鏤骨(ちょうしんるこつ):心に彫りつけ、骨に散りばめるということからきた言葉です。「非常に苦心して詩文などを作ること」という意味です。「鏤」という漢字には、「きざむ」「ほりこむ」や、「はがね」「金飾」という意味があります。

慣用句や熟語

  • 辛酸(しんさん)を嘗(な)める:「つらく苦しい体験をする」という意味です。「辛酸」とは「つらく苦しいこと」や「苦い思い」を表します。
  • 血反吐(ちへど)をはくような:「血反吐」とは、「胃から吐き出す血やそのかたまり」のことです。大変な苦痛をともなうことを、「血反吐をはくような思いをした」などと表します。
  • 腐心(ふしん):「ひどく心を悩ますこと」という意味です。「なんとか赤字を出さないよう腐心する」「新しい事業の発展に腐心する」などが例文です。

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