「文殊の知恵」とは?意味や使い方をご紹介

「文殊の知恵(もんじゅのちえ)」とは、「三人寄れば文殊の知恵」ということわざでご存じの方が多いと思いますが、文殊菩薩のような優れた知恵のことを言います。この記事では、「文殊の知恵」「三人寄れば文殊の知恵」の意味や使い方を詳しくご紹介しています。

目次

  1. 「文殊の知恵」とは
  2. 「菩薩」とは
  3. 「文殊菩薩」とは
  4. 「三人寄れば文殊の知恵」の意味
  5. 「三人寄れば文殊の知恵」の使い方
  6. 「三人寄れば文殊の知恵」の類義語・対義語
  7. 「文殊の知恵」のまとめ

「文殊の知恵」とは

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「文殊の知恵(もんじゅのちえ)」とは、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)のような優れた知恵という意味です。では、優れた知恵をもつ文殊菩薩とは、どのような菩薩なのでしょうか。また、そもそも「菩薩」とは、どういう存在なのでしょうか。

「菩薩」とは

菩薩というのは「菩提薩埵(ぼだいさった)」の略で、仏教において仏や如来の次の位に位置しており、「仏の悟りを求めるもの」という意味があります。

菩薩の中にも位があり、「文殊菩薩」や「観音菩薩(かんのんぼさつ)」などは位が高く信仰の対象となっています。

「文殊菩薩」とは

「文殊菩薩」とは「智慧(ちえ)」をつかさどる菩薩のことです。お釈迦様の両脇侍として用いられるほか、文殊菩薩単独でも厚く信仰されており、左手に剣、右手に経巻(経典を記した巻物)を持った姿が一般的です。

文殊菩薩は問答で右に出るものがいないとされていた釈迦の弟子・維摩居士(ゆいまこじ)と唯一対等に問答のやり取りができたと言われるほど、叡智にすぐれていました

「智慧」とは

文殊菩薩がつかさどっている「智慧」とは、本来は仏教において悟りを導くための精神作用のことであり、仏教真理を正しく理解し物事を判断する能力のことです。

文殊菩薩は、現代では「智慧」だけでなく、「学業成就」「書道上達」にご利益があるとされている他、卯年生まれの人の守護本尊としても祀られています。

そんな文殊菩薩ですが、特に有名なものを「日本三文殊」と呼んでいます。しかし、全国に自寺の文殊菩薩が「日本三文殊」の一角であると名乗っている寺院が三か所以上あり、どの文殊菩薩をもって「日本三文殊」となすかには諸説あるようです。

「日本三文殊」の一つと言われている寺院

  • 安倍文殊院・安倍文殊:奈良県桜井市/国宝指定・快慶作
  • 智恩寺・切戸文殊:京都府宮津市
  • 大聖寺・亀岡文殊:山形県高畠町
  • 竹林寺・文殊菩薩:高知県高知市五台山/行基作
  • 文殊仙寺・文殊菩薩:大分県国東市国東町大恩寺/「三人寄れば文殊の知恵」発祥の地
  • 光明寺・中山文殊:京都府京都市左京区金戒五台山文殊寺/運慶作
  • 五台山文殊寺・野原の文殊さま:埼玉県熊谷市

「三人寄れば文殊の知恵」の意味

「文殊の知恵」という言葉は、主に「三人寄れば文殊の知恵」ということわざで使われています。

「三人寄れば文殊の知恵」の意味は、凡人でも三人集まって知恵を出し合えば、文殊菩薩のような素晴らしい知恵が生まれるということの例えです。

文殊菩薩が「智慧」をつかさどる仏というところから、「三人寄れば文殊の知恵」ということわざが生まれました。

「三人寄れば文殊の知恵」の使い方

「三人寄れば文殊の知恵」の例文

  • 一人で抱え込まないで、みんなで解決策を探そう。「三人寄れば文殊の知恵」と言うくらいだから、きっと何とかなるさ。
  • 一人ひとりの意見よりも、グループごとにディスカッションをした後に発表した意見の方がより議論され内容が練られている。まさに「三人寄れば文殊の知恵」とはこのことだ。
  • どうして相談してくれないんだ。「三人寄れば文殊の知恵」と言うじゃないか。それとも、僕のことが信用できないのかい?

「三人寄れば文殊の知恵」の引用

“「三人寄れば文殊の知恵とありますから、何とか知恵をお貸し下さいまし、ほんとにひとごとではありますまい」”
『大菩薩峠 流転の巻』中里介山
 
三人よれば文殊の智慧というけれど、この三人、寄るとさわると酒なので、智慧の出るひまもなさそうだ。”
『鳴門秘帖 船路の巻』吉川英治

※青空文庫出典

「三人寄れば」の部分は、凡人や普通の人が集まればという意味なので目上の人に使う時には注意しましょう。

「三人寄れば文殊の知恵」の類義語・対義語

「三人寄れば文殊の知恵」の類義語と対義語を、ご紹介します。

「三人寄れば文殊の知恵」の類義語

  • 一人の文殊より三人のたくらだ
    一人の知恵者よりも、愚か者でも大勢で考えたほうが良い知恵がでるということ。「たくらだ」とは愚か者の意味。
  • 一人の好士(こうし)より三人の愚者(ぐしゃ)
    一人の賢人よりも、愚か者でも大勢いる方が役に立つということ。
  • 衆力功あり(しゅうりきこうあり)
    一人の力よりも大人数の力を合わせたほうが物事が成功しやすいということ。
  • 三人寄れば師匠の出来(でき)
    力不足の弟子でも、三人集まれば師匠と同じような素晴らしい仕事ができるということ。

「三人寄れば文殊の知恵」の対義語

  • 三人寄っても下種は下種(げすはげす)
    心が卑しい人間が何人集まっても良い考えは浮かばないということ。
  • 船頭多くして船山に登る(せんどうおおくしてふねやまにのぼる)
    指図する人間が多くいると統率がとれず、物事がとんでもない方向に進んでしまうということ。

「文殊の知恵」のまとめ

一人で考え付くことには限界があったり、偏った見方・考え方になってしまって取りこぼしや失敗があったりするものです。そんな時、仲間と協力したり助け合ったりできればとても心強いですね。

「三人寄れば文殊の知恵」という言葉は、何でも一人で解決しようとしないで周りの人に頼ってもいいんだよ、チームで協力して行動したほうが良い結果がでるかもしれないよと、教えてくれているのかもしれませんね。

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